平成20年 5月21日(水):初稿 |
○任意後見契約は、未だ元気なうちに、将来の老いの不安に備えた「老い支度」ないしは「老後の安心設計」のための契約で、実際、本人に精神上の障害が生じて任意後見監督人が選任された時から、その効力が発生するもので、「任意後見契約に関する法律」にその方式、要件等が規定されています。 方式は、公正証書で行い且つその契約内容が「後見登記等に関する法律」に規定された後見登記等ファイルに記録される必要があります。 「任意後見契約に関する法律」 第3条(任意後見契約の方式) 任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。 第4条(任意後見監督人の選任) 任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する。 (中略) 3 第1項の規定により本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには、あらかじめ本人の同意がなければならない。ただし、本人がその意思を表示することができないときは、この限りでない。 ○上記の通り、任意後見契約が登記されると、精神上の障害により本人の判断能力が不十分な状況になったときに、本人、配偶者、四親等内の親族または任意後見受任者(任意後見契約を締結した将来任意後見人となる人)は、家庭裁判所に、任意後見監督人の選任の申立てをすることができ、家庭裁判所は、本人の判断能力が不十分な状況にあると認めるときは、任意後見監督人を選任し、この任意後見監督人の選任によって任意後見契約の効力が発生します。なお、本人の自己決定権を尊重するのが任意後見制度ですので、任意後見監督人の選任に際しても、本人以外の者が申立た場合には本人が同意していることが必要となります。 ○「任意後見契約に関する法律」による後見監督人の職務は以下の通りです。 第7条(任意後見監督人の職務等) 任意後見監督人の職務は、次のとおりとする。 1.任意後見人の事務を監督すること。 2.任意後見人の事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告をすること。 3.急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内において、必要な処分をすること。 4.任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。 2 任意後見監督人は、いつでも、任意後見人に対し任意後見人の事務の報告を求め、又は任意後見人の事務若しくは本人の財産の状況を調査することができる。 3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、任意後見監督人に対し、任意後見人の事務に関する報告を求め、任意後見人の事務若しくは本人の財産の状況の調査を命じ、その他任意後見監督人の職務について必要な処分を命ずることができる。 (中略) ○任意後見人の事務は、法務省令で定める様式の公正証書によってなされた契約内容によりますが、事務を行うに当たっては、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮する必要があり(法第6条)、且つ上記の通り後見監督人の監督に附します。 ○任意後見契約の解除は、任意後見監督人選任前は、公証人の認証を受けた書面により、また任意後見監督人選任後は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て行います(法第9条)。 以上:1,379文字
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