令和 7年 6月 6日(金):初稿 |
○令和7年5月30日、安倍元首相妻安倍昭恵氏がロシアのプーチン大統領から招待されて面談をしている様子が報じられました。これについて、親ロシア派、反ロシアは双方から色々意見が出されているようです。どちらかというと反ロシア派である私は、安倍昭恵氏は老獪なプーチン氏に利用されているとの感想でした。プーチン氏の老獪さは、あのトランプ大統領を手玉に取っている状況から明らかです。トランプ大統領のプーチン氏に対する弱腰ぶりは、何か弱みでも握られているのではとの憶測もあるようです。 ○以下、親ロシア派代表とも言える佐藤優氏のコラムと、おそらく常識的一般論と思われる元ロシア特命全権大使上月豊久東海大学教授のコラムを紹介します。佐藤優氏は、プーチン氏の安倍昭恵氏招待は、日本がロシアに対する制裁を解除するならば、平和条約交渉を再開することができるという意味であり、日本政府はプーチン氏の呼び掛けに反応すべきで、トランプ米大統領による東アジア地域の帝国主義的再編において、ロシアとも部分的に協力しつつ、日本の国益の極大化を図るべきだと主張しています。これに対し、上月豊久氏は、プーチン大統領が先月、故安倍晋三元首相夫人の昭恵さんをクレムリン(大統領府)に招いたことについては「日ロ関係に与える影響は最小限。大騒ぎする必要はない」と述べています。 ○日本がトランプ大統領・プーチン大統領と組むべきだとの主張には、流石に抵抗があります。プーチン大統領は正に現代の独裁者で、トランプ大統領も独裁者になりつつあるからです。 ******************************************** 【佐藤優コラム】プーチン大統領×安倍昭恵さん会談を裏読み 日ロ平和条約締結のメッセージ 東スポWEB2025年6月5日11:30 5月29日、モスクワでプーチン大統領が安倍昭恵氏(故安倍晋三元首相の妻)と面会した。 この会談は、ロシアのテレビ、新聞などで大きく報じられた。筆者が注目しているのは、会談がモスクワ郊外のプーチン氏の別荘ではなく、クレムリンの外国代表団との公式会見で使われる会議室で行われたことだ。昭恵氏との会談が、純然たる個人的性格のものではなく、日本政府に対するメッセージでもあったことを示唆するものだ。 このタイミングでプーチン氏が昭恵氏との会談に踏み切ったのには、戦略的思惑がある。ロシア・ウクライナ戦争が、ほぼロシアの思惑を満たす形で終結するという感触をプーチン氏が得ていることが最大の要因と思う。 アメリカが仲介する停戦交渉で、ロシア軍が現在実効支配するウクライナ領の現状が追認され、NATOにウクライナが加盟しないという条件が満たされるとプーチン氏が認識しているのだ。ロシアは西(ヨーロッパ)と東(アジア)の双方にまたがるユーラシア帝国だ。 ウクライナという西方面での紛争に目処がつけば、東方面での攻勢に出るのは必然的な動きだ。東方面では、G7の一員で、アメリカの軍事同盟国であるにもかかわらず、ウクライナに殺傷能力を持つ装備品を提供せず、ロシアからLNG(液化天然ガス)の輸入を続けている日本は、プーチン氏にとって関係改善が容易な国なのである。 プーチン氏は、昭恵氏に「彼(晋三氏)の夢は両国間の平和条約であり、彼は誠実に取り組んでいた。私たちはこの道で真剣に前進してきた」(5月30日「朝日新聞デジタル」)と述べ、現在もロシアには日ロ平和条約を締結する意図があることを示唆した。 平和条約締結の前提は、北方領土に関する帰属の問題を解決することだ。プーチン氏が「現在は状況が異なり、今は(この点については)話さない」(同上)と述べていることは、日本がロシアに対して制裁を課している状況では平和条約交渉は出来ないという意味だ。 裏返して言うと、日本がロシアに対する制裁を解除するならば、平和条約交渉を再開することができるという意味だ。日本政府はプーチン氏の呼び掛けに反応すべきだ。そして、トランプ米大統領による東アジア地域の帝国主義的再編において、ロシアとも部分的に協力しつつ、日本の国益の極大化を図るべきだ。 ******************************************** ウクライナ侵攻継続は「ロシア衰退の道」 経済成長維持に課題―上月前大使 時事通信 外信部2025年06月05日20時31分配信 上月豊久前駐ロシア大使は5日、オンライン記者会見で、ウクライナ侵攻を続けるロシアが、中長期的に労働力不足などの国内問題に直面するとの認識を示した。長期化する侵攻が「孤立と衰退への道になり得る」と語った。 プーチン氏、ウクライナに報復明言 空軍基地へのドローン攻撃で―米ロ首脳が電話会談 上月氏は、ロシア経済が当面、軍需主導で高い成長を続けると予想。一方、戦争の長期化で兵士動員に伴う労働力減少やインフラ投資不足が、経済状況の悪化をもたらす可能性があると述べた。 ロシアの対外関係を巡っては、ラブロフ外相が2022年2月の侵攻開始から23年11月までに外国関係者と行った366回の会談のうち「西側諸国とはわずか20回だった」と指摘。グローバルサウス(新興・途上国)を重視する外交姿勢が鮮明になったと分析した。 プーチン大統領が先月、故安倍晋三元首相夫人の昭恵さんをクレムリン(大統領府)に招いたことについては「日ロ関係に与える影響は最小限。大騒ぎする必要はない」と説明。「日本側に義理堅い人物だと思わせる意図があったのではないか」との見方を示した。 以上:2,285文字
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