平成28年 4月23日(土):初稿 |
○三万人のための情報誌「選択」平成28年4月号に表記”「軽度認知症」が氾濫する日本-高齢者「8人に1人」過重なる社会負担”との記事が掲載されています。 その冒頭部分は次の通りです。 いまや誰の身にも襲いかかる病として深刻さを増す認知症。この問題の核心は病魔そのものだけではなく、厚生労働省の無為無策にも起因している。介護保険制度では、介護度を身体能力の低下によって困難になる排泄や入浴などの所要時間で判定し、徘徊する高齢者の見守りはそもそも介護行為としての評価が低い。さらに症状が見えにくい軽度の認知症ならば、ほとんどが健常者扱いにされてしまう。○4年後には私も69歳に達していますが、「高齢者の内8人に1人は軽度認知症患者」と予測されているとのことです。私の両親はいずれも最終的には重度認知症になり、亡くなる数年前から私の顔も判らなくなりました。私にも認知症の遺伝要素が相当あるはずで、心配でたまりません。 ○しかし、国の認知症老人対策貧困を嘆いてばかり居ても仕方なく、認知症にならないよう自助努力を継続するしかありません。 以下、選択記事の見出しと要点です 1割以上が「走る凶器」の予備軍 ・2011年から14年に739件の高速道路逆走事例が報告され、この約7割が65歳以上、そのうち約1割が認知症の疑いがある ・我が国では65歳以上の人口の約15%が大なり小なり認知症を患っているといわれ、極めて多くのドライバーの認知症が見過ごされている ・高齢者たちは罪の意識もないまま「走る凶器」と化す ・認知症に気づきにくい初期の認知症患者が、突然、大事故を起こすケースも後を絶たない。 ・アルツハイマー病患者が自動車を運転すれば、交通事故のリスクが極めて高くなる。 認知症切り捨ての介護保険制度 ・今の介護保険制度が身体的に動けない人への支援を念頭に構築されたからで「これは認知症対策の致命的な欠陥」 ・介護保険制度での介護度は、もっぱら排泄や食事介助などの介護行為の所要時間で判定、徘徊したり、すぐに激昂したりするなど手間のかかる高齢者への「見守り」や「観察行為」は介護行為としての評価が低く設定 ・高齢化が進んだこの国で、65歳以上の高齢者がいる世帯の過半数は、独居か夫婦のみであり、もはや老老介護は限界 ・15年の介護保険制度改正で、要介護3以上でなければ特養に入所することが難しくなるように制度を変更、認知症だけで要介護3となるのは至難の業 ・14年度だけで1万783人の認知症の高齢者が行方不明、14年末時点で、このうち168人の行方がわからないまま 社会全体で6兆2千億円を逸失 ・認知症患者は人件費ばかりかさみ、高い売り上げも期待できず、目を離した隙に徘徊し、時に事故を起こす可能性もあり、厄介者扱い ・高齢化によって12年に約460万人だった認知症患者は、25年には700万人以上に急増すると予想、約470万人は「軽度」と見なされる見込み ・25年の高齢者人口推計は3657万人、8人に1人の高齢者が徘徊や暴走の予備軍となる ・慶應義塾大学の佐藤充洋医師らの研究によれば、認知症の高齢者を介護する場合、家族が介護に費やす時間は平均して年間1300時間 ・介護者一人当たりの年間の逸失利益は382万円、社会全体で6兆2千億円 ・湯原悦子・日本福祉大学准教授によれば、介護殺人は過去17年間で少なくとも672件、我が国の殺人事件の約4%が介護殺人 無理やり在宅へ誘導する厚労省 ・「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」では、「できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続ける」という目標 ・厚労省が無理矢理にでも、在宅へ誘導しようとしているのが読み取れる ・老老世帯で徘徊する認知症患者をみることなど無理 ・認知症の入所施設を整備し、専門家のケアに委ねるしかない高齢者の家族に押しつけるのではなく、認知症の高齢者同士が同居し、そこに介護や医療の専門家が関与するような枠組みを早急につくらなければ、街は徘徊老人で溢れ返る 以上:1,931文字
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