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朝日新聞社説”司法改革10年―次代担う層どう育てる”雑感

平成25年 5月 2日(木):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生のブログ「帰ってきた弁護士独立開業マーケティング」の中の平成25年4月29日「クズ弁護士の主張」を読んで、後記平成23年6月14日付朝日新聞社説を思い出しました。この社説については、法曹関係者によく読まれているSchulze BLOGブログの「2011年06月14日」付記述でボロクソけなされています。おそらく40期代(原則平成6年合格組が49期)までの弁護士側では90数%以上は、このSchulze BLOGと同意見と思われます。

平成25年4月29日「クズ弁護士の主張」は、いかにも大山先生らしいなと笑って読みましたが、私自身、ほぼ大山先生と同一見解です。
頑張って、頑張って、頑張って勉強して弁護士になれました。弁護士になれば、頭を下げなくても、客はいくらでもやってくるって聞いてました。弁護士になりさえすれば一生安泰だと聞いてました。だからこそ、頑張って頑張って弁護士になったんです。
(中略)
ところが最近では、以前よりずっと簡単に弁護士になれるようになりました。そんな奴らでも、私と同じ弁護士なんです。超おかしいでしょう。
」なんて記述は、旧試験合格者の本音をグサッと抉り出しており、これ程ズバリとえげつなく表現されなくてよいでしょうと、苦情も言いたくなります(^^;)。

○私自身は、弁護士生活33年の大半を三大特権に擁護された「古き良き時代」に過ごしてきた身で、ここ数年「古き良き時代」がほぼ完全に過ぎ去り弁護士業務冬の時代到来を実感して、「古き良き時代」を懐古することもよくあります(^^;)。しかし、「古き良き時代」に戻ることはないだろうと覚悟しており、もはや「古き良き時代」への揺り戻しを期待すべきではないとも確信しております。

○これから弁護士として食べていくためには、「相談者の来訪を待ち、裁判所向けの書面をつくる。昔ながらの弁護士像を前提にするだけでは展望は開けない。」ことを肝に銘じて、如何にお客さまを呼び込める新サービスを開拓していくか、日夜検討を続けなければなりません。

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平成23年6月14日付朝日新聞社説から

「身近で頼りがいのある司法」を掲げて司法制度改革審議会が意見書を公表して10年になる。裁判員裁判をはじめ、意見書を踏まえて導入された施策はおおむね順調に推移してきた。政治、行政、司法と続いた一連の改革のうち、最も実を上げているといえよう。

 そんななか、法律家の養成問題が厚い壁に直面している。

 一度の試験の点数を競う旧司法試験の弊害を踏まえ、教育の過程を重視する法科大学院制度が始まり、新司法試験の合格者も年2000人と10年前から倍増した。だが苦労して大学院を出ても合格するとは限らない、弁護士になっても就職事情は厳しいという現実があり、リスクを嫌い志望者は減少傾向にある。

 司法を担う層がしっかりしなくて困るのは、利用する普通の人だ。法科大学院を中核とする養成の理念は堅持しつつ、定員の見直しや乱立した大学院の改編、法曹の道に進まなかった卒業生の処遇など、踏み込んだ対策に取り組む必要がある。

 法曹関係者だけでなく、経済界、労働界、消費者問題の専門家らが入った政府の検討会が先月発足した。利害や思惑を超え充実した議論を期待したい。

 その際、何より大切なのは市民・利用者の視点である。

 例えば、弁護士が増えると競争が激化し食べていけない、人権活動もおろそかになるとして法曹人口の抑制を唱える声が根強くある。ずいぶん身勝手な主張と言わざるを得ない。

 数の増加は質の低下を招くとの指摘も聞かれる。事実なら手当てが必要だが、そこでも法律家に求められる質とは何かという問題意識をもつ必要がある。

 相談者の来訪を待ち、裁判所向けの書面をつくる。昔ながらの弁護士像を前提にするだけでは展望は開けない。

 世の中には、権利を主張できぬまま福祉や医療サービスの外に置かれ、だまされても警察に相談することすらかなわない、そんな人も少なくない。企業、役所、NPOなど法的素養が求められる場はいろいろある。

 たしかに改革審が想定したほどの出番はまだ見えないかもしれない。だが、市民との距離を縮めて真のニーズを掘り起こす努力もそこそこに、縮小安定の世界に逃げ込んでしまっては、法の下でだれもが平等・対等に生きる社会は実現しない。

 司法試験のあり方や合格後の修習についても、同様に旧来の発想や基準にとらわれずに再検討することが必要だろう。

 人材をどう育て鍛えるか。次の10年の成否がかかっている。


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