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”小沢元代表裁判…指定弁護士時給は1400円”雑感

平成24年 5月 3日(木):初稿
○日刊スポーツコムの平成24年4月26日配信記事で「小沢元代表裁判…指定弁護士時給は1400円」との記事がありました。内容は次の通りです。
小沢一郎元代表の裁判は、26日の判決を含め17回の公判で計約70時間が費やされた。指定弁護士によると、2010年10月の選任から準備や公判にかけた時間は計約830時間。報酬の上限120万円が支払われたとしても、時給は1400円程度だ。

 傍聴券を求めて並んだ人は17回の合計で8404人。最も多かった初公判(2146人)でも故田中角栄元首相の判決(3904人)に及ばず、東京地裁の刑事裁判では歴代30位。判決には1843人、2日間の被告人質問では両日とも1000人以上が並んだが、ほかの日は118~353人だった。

 証人は石川知裕衆院議員ら元秘書3人や取り調べ検察官ら計9人。最も尋問時間が長かったのは事件のキーマンとされた石川議員で、2日間で10時間を超えた。元代表は計約10時間にわたり被告人質問に答えた。

 表などを除く本文で、指定弁護士、弁護側の冒頭陳述はそれぞれ31ページと23ページだったが、論告は114ページ、最終弁論は142ページに激増した。(共同)

 [2012年4月26日11時36分]
○17回の公判開催時間が約70時間で、その準備時間が約760時間で、合計で約830時間をこの事件処理にかけたように読めます。最大報酬額120万円は支払われるでしょうから、120万円÷830=1445円となり、時給は約1400円となります。準備時間約760時間について1日8時間をこの処理に当てたとすると95日間かけたことになります。公判が17回だったとのことで、公判が丸1日かかっているはずですから、112日間をこの事件に費やしたことになります。1ヶ月20日とすれば5.6ヶ月約6ヶ月です。

○平成22年10月に選任され平成24年4月判決まで19ヶ月間の内約6ヶ月を丸々この事件についやしたことになりますが、丸々6ヶ月費やした期間の報酬が120万円とは、この6ヶ月間の1ヶ月当たり売上は約20万円で、事務員一人分の給料しか払えません。2人目以降の事務員給料と事務所賃借料等事務所経費の相当部分と更に自分の生活費が、この6ヶ月間持ち出しとなります。余裕のある弁護士でないと到底勤まりません。

○これだけの時間と労力をかけ、且つ、この間の経費相当部分持ち出し=自己負担で、公判に臨めば、当然、目的達成即ち小沢元代表有罪が至上命題になっていたはずです。いわば身銭を切って小沢有罪にかけたからです。ところが、判決は無罪、無罪の判決を聞いた指定弁護士は、しばし呆然として天を仰いだとの記事がありましたが、気持は良く判ります。勿論、指定弁護士の心情が推測出来るというだけで、無罪判決がおかしいなどと言うつもりは毛頭ありません。

○指定弁護士は、冒頭陳述書と論告だけで合計137頁の書面を作成しています。現在の裁判文書標準書式は、文字数1行37,行数1頁26行で、1頁当たり標準文字数は962文字で、改行による減少分を考慮すれば1頁900文字程度でしょうから、137頁分文字数は12万3300文字になります。3人で分担して記載したとして1人当たり平均4万文字以上の書面を記載しています。刑事事件で裁判所に提出する書面は、冒頭陳述書と論告だけではなく、証拠申立書、証拠説明書等その他にも種々ありますので、1人当たり5万文字以上は書いていると思われます。一番神経を使って時間をかけるのは証人尋問の尋問事項書手控え作成です。

○私は現在民事事件しか扱っておらず刑事事件の実務感覚は全く鈍っていますが、刑事事件で何万文字もの文書を作成したことはありません。仮に小沢元代表の事件が控訴となれば、また控訴趣意書100頁以上10万文字もの文書を作成する作業が待っているのでしょう。現実主義者の私には到底考えられないことですが、月額20万円程度の報酬で再度挑戦されるとすれば、”偉い”というしかありません。心情的には控訴は避けた方が無難と思っておりますが。
以上:1,672文字

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