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旧試験受験方法は受験技術に偏ってしまった-本当?

平成23年 9月 2日(金):初稿
○「”貸与制移行で最終合意 司法修習生の給与支給”-本当?」を続けます。
 この記述に対し、旧司と新司の両方の経験がある法曹実務家の方から以下のような投稿を頂きました。投稿、有り難うございました。
 私は、旧司と新司の両方の経験がある身として、ロースクール制度に全面的に賛成です。先生の受験時代と異なり、あまりに旧司は受験技術に偏ってしまいました。別論なので、これについては長々と述べません。
 但し、現行の修習制度を大幅に変えるべきです。アメリカを見習ったのだから、ロースクール修了後は、旧来の裁判実務以外の分野で活躍できるようにするべきです。というのも、私は修習を受けたものの、裁判実務を扱う法曹としては不適格で、裁判とは縁のない分野で法律専門家として活動しています。その時、あまりにも日本は裁判実務以外の門戸が閉ざされています。
 結論として、裁判実務以外の門戸が日本社会として開かれるならば、貸与制若しくはそれ自体も廃止してもいいと思います。でも、新卒採用、終身雇用の日本的会社でそれは無理でしょう。私のように、日本社会を離れて活躍する意欲のあるタフな人は、最近の若者には稀でしょう。出口を改善しない限り、給費制問題は永続すると思われます。
○「先生の受験時代と異なり、あまりに旧司は受験技術に偏ってしまいました。」との記述は、私自身、近時の旧試受験勉強は経験がなく情報がないことから、何故「あまりに受験技術に偏ってしまった」と評価されのかは不明です。しかし、10年程前私の事務所で数年間アルバイトをしていた旧試験受験生の参考書を見て苦々しく思ったことはあります。

○それは以前もどこかで述べましたが、その受験生が、論点メモ的参考書を一生懸命読んでいたことでした。その参考書を見せて貰うと、その教科の論点が実に良く整理され、ポイントとなる事項は太字、赤字等で強調され、記憶しやすいように実に良く工夫されていました。しかし、私はそれを見て、当初からこんな整理されたものを読んで、果たして、本当に法律学の理解ができているのだろうかと疑問を感じました。

○30数年前の私の受験時代の論文試験攻略法ですが、私の恩師の最初の手紙に「番外編s50-11-12恩師からの最初の手紙」に記載したとおり、
 論文合格の秘訣はただ一つです。論点につき、いかなる結論をとり、いかに理由づけるか、です。何枚書くか、字の大きさ等は、小さいことです。
 全ての論点(実際は60%ぐらいつぶした時点で合格します)について、考えに考えて、小松説ー結論及び根拠ーを地道につくっていってください。

と記載されたとおりでした。

○この教えに従って、教科書を熟読して、ああでもない、こうでもないと、自分なりに考えに考えて、各論点毎に「小松説ー結論及び根拠」を論点ノートとして作成していきました。教科書だけで判らない点は、参考書・判例解説等を読んで、追加・訂正等を加え、最終的には自分の表現で自分にとって判りやすい論点ノートを完成させて行きました。勿論、当時は,ワープロなんて便利なものはなく、全部手書きです。更に論文式試験の直前に、短時間で全論点を、読み込めるように、この論点ノートの更に要点だけを自分だけに判りやすいようにまとめた論点カードを作りました。

○大事なことは、これらの論点ノートなり論点カードを自分で作っていく過程で、ああでもない、こうでもないと、自分の頭で自分なりの文章・表現を作り出していくことでした。ところが、前記アルバイト学生は、これらの論点ノート作成過程を経ず、予備校が、多色刷りで実に判りやすく且つ綺麗に印刷した論点メモ的参考書だけを懸命に読んでいる姿を見て、こんなことで考える力が付くのだろうか、他人が作成したまとめの表現が自分の頭に本当に入るのだろうかと、大いなる疑問を感じました。

○受験勉強とはある意味受験技術を磨くものであることは間違いありませんが、「あまりに受験技術に偏ってしまった」と評価される勉強方法とは、予備校が余りに手取り足取り世話を焼きすぎて,受験生が自分の頭で考えないで懇切・丁寧に予備校が作成した参考書だけを頼りに安直に勉強する姿勢もあるのかなと感じた次第です。
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