平成23年 6月11日(土):初稿 |
○「私が現在の司法修習生だったら-”可愛気”と”律儀”2」を続けます。 「可愛気」を持って生まれた人は、羨ましい限りですが、「律儀」を尽くせば「可愛気」に近づけるとの谷沢先生のお言葉に感激して私なりに「律儀」に努力したつもりでしたが、まだまだ不足しています。 弁護士は、営業マン(勿論、ウーマンも含めての)でなければならないと私は考えていますが、この営業マンとして相応しくないと思われる性格を、思いつきで上げると以下のようなものがあります。 □大人しい □内気 □内向的 □内弁慶 □弱気・気が弱い □押しが弱い □小心 □消極的 □恥ずかしがり □人見知り □気が利かない愚図 □生真面目な堅物 □無口で口下手・話し下手 □あがり症 □謙虚 □控えめ □慎み深い □慎重 等々 実は、これらは全て私の性格に関して言われ続けてきたものです。私のキャッチフレーズである「謙虚で控えめで慎み深い」は自分で言っているだけで、他人から言われたことはありませんが(^^)、「気が利かない愚図」、「生真面目な堅物」なんてのは、正に私にピッタリの表現です(^^;)。「大人しい」から、「人見知り」までは、小さいとき良く母から言われ続けた言葉です。 ○上記性格は、全てマイナスイメージで、人に嫌われる性格かというとそうではなく、謙虚で控えめなんてのはほめ言葉でもあります。大人しくて内気であっても、そのような性格の方がかえって好きだと言う方も居ます。しかし、法的サービスを提供して最終的にお客様を良い気分になって頂き、満足頂けるには、弁護士が上記性格だと思われると頼りないと思われマイナスイメージに働く方向が強いと思われます。 ○お客様は、一般的には弁護士には頼れることを重視します。ある事件で、頼りないと思われお客様に逃げられたことがあります。当初、3割程の資料を持参してきた時点では、さほど問題なく勝つ見込みがある旨説明していました。後日、後の7割の資料を持参して良く検討すると不利な事情も相当あり、これは簡単な事件ではない、心して当たるべきと強調して説明しました。すると最終的に他の弁護士に依頼するとのことで受任出来ませんでした。後日、同行した社員に聞くと、社長は、小松弁護士は当初調子の良いことを言いながら、後になって飜して頼りないと思ったとのことでした。私としては難しい事件ながらやり甲斐のある事件でやってみたい事件でしたが、社長には難しさを強調したため信頼を失っていました。 ○弁護士は、受任に当たっては、 第29条(受任の際の説明等) 1 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。 2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。 3 弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任してはならない。 との職務基本規程があり、いわゆる安請け合いは出来ず、かといって、難しさを強調するとお客様の信頼を得られない場合もあり、このさじ加減は大変難しいところがあります。要はお客様の心理状態を良く見抜く必要があり、私はお客様の思いに応えられなかったとの意味ではサービス業者として失格でした。 ○話しは飛びましたが、大人しい、内気等のお客様には頼りないと思われる性格は、営業マンとしては、奥に閉まった方がよいでしょう。私の場合、基本的性格である大人しい、内気、小心等は、変えることが出来ませんが、奥に隠して、逆に荒々しく、強気で外向的との「演技」の努力を少しはしてきました。もし小松弁護士が、「大人しく」て「内気」で「気が弱くて押しも弱い」なんて信じられないと言う人が、一人でも居たとしたら、その方は、小松弁護士の「演技」に騙されているのです。 ○このように弁護士には、「演技」が必要であり、弁護士大国アメリカでは、弁護士のための「演技学校」もあるそうです。これから弁護士を目指す方で、小松弁護士の様に「大人しく」、「内気」、「小心」、「消極的」等の性格を基本的に持っていると自覚された場合、如何に「演技」で克服するかを「律儀」に考え続ける必要があります。 以上:1,743文字
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