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弁護士業務と東日本大震災の影響

平成23年 5月19日(木):初稿
○平成23年5月17日は異業種交流団体RU(ライジングアップ)、同月18日は各士の集まり九士会が開催されました。RUは8名、九士会は6名が集まりましたが、いずれも話題は東日本大震災です。RUは、昭和56年頃創立され、平成23年は31年目に入る息の長い団体で現メンバー12名中オリジナルメンバーは2名だけでメンバーの入れ替わりは結構ありましたが、20年以上在籍しているメンバーは結構居て、良く続いているものだと感心しています。平成23年還暦を迎えるメンバーが私も含めて3名おり、大部老朽化してきましたが、皆、元気溌剌です(^^)。

○九士会は、平成7年に「七士会」としてスタートし、翌平成8年に「九士会」となり、以来殆ど変わらないメンバーで16年間継続していますが、「九士会が休止会となっていたところ再度九士会へ」記載の通り、途中2年程、休止状態となり、平成22年から、細々と再開しており、毎回担当者を決め、業務に限らない自由テーマで開催し、軽食を取りながらフリートーキングをする肩のこらないものになっています。九士が集まって色々四方山情報交換をするだけで意義があると考えています。

○RUでは、地震保険が話題になり、結構な金額を受領した人が多数居ることが判り、我が自宅マンションでも地震保険に入っていましたので、保険請求をすることにしました。3月11日震災の際は、A棟7階の事務所各部屋より、B棟自宅部屋の方がズッと被害が酷かったからです。地震時、自宅には愛猫一匹のみ居て留守番していただけですが、台所は、多くの食器類が外に飛び出し相当数の食器類が壊れて散乱し、26インチTVも倒れ、玄関は大きな花瓶が倒れて、たまたま飾ってあった多くの花と割れた花瓶の破片が水浸しで散乱し、またAVルームは書棚の書籍、DVDの殆どが落下し、据置AVラックも倒れ、ラック扉の壊れたガラス破片が散乱し、また、大きなスピーカーもコードを切って倒れ、パソコンは電源が入らなくなり、殆どの部屋が足の踏み場もない状況でした。そのため私は留守番の愛猫は、散乱した物の下敷きになっての圧死を覚悟した程です。

○九士会には保険代理店経営者も居て,その状況を説明すると動産については半壊の認定は出るはずとのことでした。今回の保険会社の被害認定は相当甘くて、予想外の保険金を得た方が多く、それを皆さんに吹聴して回って、それを聞いた地震保険請求を忘れていた私のような人も請求を始め、保険請求が一段落したと思ったら,最近、また急激に地震保険請求が増えていると言うことでした。地震保険金で家族温泉旅行に行ったとか、新車を購入したなんて話しまで出ているそうで、そんな話を聞けば、大したことがないからと保険請求をしていなかった人も請求し出すのは当然と思います(^^)。

○九士会に集まったメンバーに景気はどうですかと聞くと,皆さん、震災関連の相談は多いが、殆どが相談止まりで、お金を頂ける仕事にならず、景気は悪いで一致しました。当事務所も、HPで案内している震災無料相談はさほどありませんが、顧問先、顧問先従業員、従前依頼者、従前依頼者紹介者等の相談は結構あります。相談内容の殆どは、詰まるところは、地震・津波で受けた損害についての危険負担の問題で、この危険負担の原則は、民法或いは契約約款で定められており、その内容を説明します。

○しかし、確かに原則はそうですが、実際の解決に当たっては、今回の地震・津波は皆同じ被害者であり、お互い助け合いの精神で、危険負担は痛み分けを原則として、話し合いで円満解決を目指した方がよいですよとのアドバイスにならざるを得ません。結局、弁護士に依頼して、本気でケンカするよりは、和の精神で話し合い解決を目指すべきとのアドバイスの結果、相談で止まり、弁護士の仕事にはなりません。

○そのため当事務所もそうですが、3月以来、弁護士稼業売上が激減している事務所が多そうです。当事務所では、売りとしている交通事故事件相談も大震災以来減っています。皆さん、大震災で、目の前の生活が大変で、弁護士に相談するどころではないのだろうなと思っていました。ところが、保険会社示談代行員が、大震災の打撃で落ち込み、経済的にも大変になり、闘争心がなくなった交通事故被害者に、この際一気に解決しましょうと,解決を迫って、保険会社基準の低額での示談契約を成立させている例が相当増えているとの噂を耳にしました。これで弁護士相談が減った原因をまた納得しました。しかし、人の足下も見て示談を迫るやり方があるとすれば、強い憤りを覚えます。
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