○平成23年3月23日午後、幸い地震直前にガソリンを満杯にしていた自動車で、仙台市東部のある町を訪ねました。その町には、どうしてもその安否が気になるかつてお世話になったお客様が住んでいるからです。そのお客様のお宅には以前一度お訪ねしたことがあり、海浜から僅か数十メートルの距離にあり、且つ、お客様ご夫婦は70代で、ご主人は両足が不自由で,いつも杖をついて奥様に支えられて打合せにご来所されており、その安否が心配でなりませんでした。連日電話連絡するもズッと話し中音しか聞こえない状況が続いていたからです。
○そのお客様の住む町は、正に海辺にあり、町全体が壊滅状態になってもおかしくない位置にあるのですが、どういう訳か、その町の被害状況がニュース報道されません。Google地図で見るとお客様のお宅は、海辺から僅か数十メートルの距離です。どう見ても自宅は完全に流されて、また、大津波が来るまでの僅かの時間に歩行すら不自由なお身体で逃げることが出来たであろうかと気になっていました。
○そこで被災現場を実際この目で見るために被害の大きかった仙台市東部の道路を通行してお客様のお宅に向かいました。仙台市宮城野区中野栄地区を過ぎた辺りから、道路両端に流されてきた自動車の壁が出来ており、今回の大津波の威力をまざまざと感じさせられました。
道路両端は漂流自動車が連なり壁状になっており、所有者への撤去要請書が空しく貼り付いています
お客様の住む町に来ましたが、道路が陥没し、通行止めで自動車は入れません
電柱が倒れ、堤防の松もなぎ倒されています
お客様のご自宅近くに到達しましたが、基礎だけしかない建物がありました
○お客様の建物ではと思われる倒壊建物を自衛隊員数十名で撤去作業が始まるところでしたが、自衛隊員に聞くとその撤去建物所有者が来ているとのことで、倒壊建物の北側に登ると、居ました。お客様の奥様が本宅倉庫で作業中でした。思わず駆け寄って手を取って無事を喜び、ご主人も近くの小学校に避難し無事だとのことで、安堵の涙が出てきました。倒壊建物はお客様所有納屋で本宅は内部はメチャクチャとのことですが、外見は無事でした。「先生にも連絡しなければと思っていましたが、携帯電話もなく、そのうち事務所に伺おうと思っていました。」と言って頂き、感激の極みでした。
その後この町の被害状況を見て回りましたが、海辺から直ぐ近くで坂になり、堅固な岩盤と思われる小高い丘陵になっており、意外に被害が少なく、その被害状況がニュース報道されない理由が分かりました。
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