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悩める弁護士たち-週刊エコノミスト臨時増刊12/20号紹介

平成22年12月 9日(木):初稿
○毎日新聞社発行週刊エコノミスト臨時増刊平成22年12月20日号が贈呈されました。表題は「エリート資格者弁護士会計士たちの憂鬱」となっています。平成23年11月横浜で開催される第17回弁護士業務改革シンポジウムの「小規模事務所におけるマーケッティング戦略」と言う分科会にスタッフとして参加し、まずは弁護士HPによる宣伝広告の実態・実情等情報収集を担当して、多少疲れを感じ、いささか「憂鬱」な気分になっていた私には、正にピッタリの表題でした。

○この臨時増刊号「エリート資格者弁護士会計士たちの憂鬱」には、「こんな日弁連に誰がした?」の著者小林正啓弁護士が、part1悩める弁護士たち9頁「新司法試験ビジョンなき3000人合格構想~誰が責任をとるのか?」とpart2Q&A弁護士の世界56頁「日弁連、弁護士会とは何?滅びゆく弁護士自治」の2つの論文で現在の弁護士界の状況と今後の展望を冷静・的確に分析しておられます。

小林正啓弁護士は、「日弁連、弁護士会とは何?滅びゆく弁護士自治」59頁で、弁護士界の未来として、経済的にペイしない事件は引き受け手が少なくなり,人権擁護・弱者救済活動からも手を引き、その結果、これらを守るための制度的基盤である弁護士自治も不要になり、最終的には、全体として弁護士としての職業が、「正義の味方」でもなんでもないごく普通のサービス業に転化すると予測し、弁護士を過大な負担から解放し、普通のサービス業に戻すことが国民の意思ならば、弁護士会は粛々として従うべきだが、その結果が、国民の望む社会になるか、国家国民の利益になるかは、何とも予測しがたいと結んでいます。

○実際、多重債務事件で言えば、派手な宣伝広告で顧客を集める特に東京の法律事務所は地方にも進出し、簡単にお金になる,いわゆるおいしい事件だけを引き受け、手間暇がかかり余りペイしない事件は引き受けないとの傾向があり、地方の弁護士からは苦情が出ているとの状況が相当以前から始まっています。

○ペイしない事件の典型としての国選刑事事件或いは貧困者の離婚事件、多重債務事件等は、法テラスにおいて受任件数を伸ばしており、現在は困窮者しか利用できない法テラスの利用要件緩和を目指しているとのことで、法テラスの活動領域が広がれば、弁護士会の会務活動は、相対的に重要性を失う部分も出てくるであろうとも小林弁護士は予測しています。

○確かに仙台弁護士会法律相談センターにおいても、法テラスが創設されて以来、来所者数が減りつつあり、特にここ1,2年は、来所者数が激減し、大げさに言えば閑古鳥が鳴いているとも評価出来ます。これは従来から弱者救済制度であった法律扶助事件が全て法テラスの扱いになったことが大きいのですが、従来の法律扶助対象事件だけでなく、普通の事件も先ず法テラスを訪れる風潮になっており、全国の法律相談センターの取扱件数が殆ど一様に減少しています。

○そのため法律相談センター来所者のセンター登録弁護士に対する事件紹介数も減少しており、特に若手弁護士は、自力での事件獲得が困難で、センターからの紹介事件は大変貴重であったところ、これが減少し、厳しい状況になっていると思われます。いわば法テラスという官業が、民業を圧迫しているとも評価出来ます。そこで従前は、なかなか受任者が見つからない単価の安い法テラスの法律扶助事件も、受任者探しには苦労しなくなっているようです。国選事件も然りで、従前なかなか受任者が見つからなったところ、今は,若手弁護士が増えたこともあり、苦労なく受任者を見つけることが出来るようです。

○従前の感覚ではおよそ考えられない派手な宣伝・広告で事件を大量に集める事務所が増えたこと、法テラスの出現で従前事件の供給先であった法律相談センターの来所者数が減少したこと、更に弁護士数自体の激増で競争が激化したこと等で二重三重に弁護士業務はやりづらい大変な時代になり、正に競争の激しい「普通のサービス業」になりつつあります。覚悟していたこととは言え、その厳しさの実感で、ちと「憂鬱」になっていたところでした(^^;)。
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