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共同事務所における経費負担・収益配分方法例紹介

平成21年11月11日(水):初稿
○共同事務所には、大別して
①経費共同型:収入は各自別会計で、人件費・事務所賃料等事務所経営経費を一定のルールに従って共同負担する形態
②収支共同型:収入も経費も同一会計で行い、収入を一定のルールに従って分配する形態
の2形態があると説明してきましたが、この30年間一人事務所でやってきて、共同事務所に所属したことのない私には、その実際は良く判らない面が多くあります。

○日本の共同法律事務所の殆どは経費共同型と言われており、これは複数の弁護士が各自一定の経費を負担するものですが、この経費負担方法にも色々なやり方があると思われます。典型的な方法は、弁護士の経験等で毎月の負担金額を例えば金50万円等固定した金額でしょう。或いは最低負担金額を金30万円と決めて、更に歩合負担金として売上が100万円を超えた場合、100万円を超えた金額の30%と負担する問うような決め方もあるかと思います。例えば売上が150万円あった場合、最低負担金30万円に100万円を超えた金50万円の30%相当額の金15万円を加えた45万円をその月の負担額とすると言う決め方もあるでしょう。

○ボス弁アソシエイト型勤務弁護士事務所は、ボス弁と勤務弁護士は対等関係にないため共同事務所とは呼ばれませんが、勤務弁護士は個人事件の収入の一定割合を負担金としてボス弁に支払うのが一般です。この負担割合は、私が聞いた範囲では1割から5割程度でした。月額50万円の給料を貰いながら、個人事件での収入が50万円あったとすると負担割合30%の場合、15万円をボス弁に支払います。この場合勤務弁護士も経費を負担するという意味で経費共同型事務所と言えなくもありません。

○平成19年業務改革シンポ第1分科会「小規模事務所の人事戦略」のパネリストの一人A弁護士事務所では、ボス弁一人に多数の勤務弁護士が居ますが、勤務3年目までは一定額の給料を支払うも、4年目からはの給料は担当事件の50%の歩合給となり、且つ、個人事件収入も50%を事務所に経費負担金として支払うと言うシステムにしていると発表されました。事務所事件であろうと個人事件であろうと50%が自分の収入、残り50%は経費負担とするもので、大変合理的システムと感心しました。と言うのは個人事件と事務所事件の区別が困難な場合も多く、その負担割合を同じにすれば両者区別に苦心することがなくなるからです。このような形態も共同事務所とも評価出来るでしょう。

○その後聞いた例では、勤務弁護士の給料が定額50万円で、担当事件は事務所事件・個人事件区別なく売上75万円までは事務所収入として、75万円を超えた部分については事務所事件・個人事件区別なく50%相当額を経費として負担すると言うものがありました。例えば事務所事件・個人事件合わせて125万円の収入があった場合、75万円を超えた50万円の50%相当額25万円と給料50万円の合計75万円が自分の収入となり、50万円が事務所に経費として支払われたことになります。

○この制度でも75万円を超えた部分の売上は事務所事件・個人事件区別なく50%が自分の収入になりますので、受けた事件の事務所・個人の区別が必要がなく、また75万円以下の部分は全て事務所収入になりますので、これまた事務所・個人の区別の必要がありません。給料額50万円から75万円に達するまでの25万円は個人事件でも自分の手には全く入らないのが勤務弁護士にとっての難点ですが、これは最低50万円の給料を保障して貰う保証料と考えるべきでしょう。大変合理的な制度と思いました。ある公設事務所の例です。

○上記2例の経費負担・収益分配方法を見ると、経費負担の面からは経費共同型と評価すべきでしょうが、売上の50%は全て事務所に帰属させる部分は、事務所収入と評価出来るので、この点では収支共同型にも見え、果たしてどちらの型に入るのか疑問も感じます。私の理解が間違っているからかも知れませんが。
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