平成21年 4月24日(金):初稿 |
以下、株式会社商事法務発行日弁連法務研究財団編「法と実務2」の記述のまとめです。 1.フランスの弁護士制度と沿革 現在のフランス弁護士制度で日本の弁護士に相当する職種は、avocatで、現行弁護士職は、1990年法律第1259号(90年法)によって創設。 従来のフランス弁護士制度は二元的制度 ①裁判上の業務について補佐asistanceを職務とする弁護士 ②代理representationを職務とする代訴士 更に ③もっぱら裁判外の法律業務を行う法律顧問職conseil juridiqe が存在。 この二元的制度が複雑で当事者の利便性,EU統一市場内での競争力強化等の観点から改革 1971年法律第1130号(70年法)で従前の弁護士職と大審裁判所付代訴士職と商事裁判所付弁護士職とが統合され、更に90年法で弁護士職と法律顧問職が統合され、現在のほぼ一元的弁護士制度実現。 但し、90年法以後も、弁護士の意識において、弁護士職と法律顧問職の違いが残り、且つ弁護士職周辺に控訴院付代訴士(2000年現在413人)、コンセイユデタ・破棄院付弁護士(2000年現在90人)、公証人(2000年現在7710人)といった職種が存在。 2.弁護士の職務 (裁判業務) フランスの弁護士の業務は,伝統的に当事者の代理と補佐に分類され,現在もその区別は意味を失っていない。 「代理」とは、訴訟において当事者の名で書面を作成・提出すること 「補佐」とは、当事者に助言を与え、訴訟において弁論plaidoirieを行うこと ※書面の作成・提出と弁論の違いがいまいち不明 「代理」の職務は、大審裁判所においては弁護士強制主義で、もっぱら当該地域弁護士会に所属する弁護士が独占(分属性territoriarite) 小審裁判所等例外裁判所においては弁護士強制主義はなく、代理人資格も弁護士に限られない。 控訴院、破棄院、コンセイユデタにおいては別な専門職 「補佐」の職務は、原則として全ての裁判所において弁護士が独占し、弁護士は全国どこでも弁論を行うことが出来る。 但し、破棄院、コンセイユデタにおいては別な専門職 (裁判外業務) 法的助言の提供と法的書面の作成であるが、この分野では71年法、90年法での改正で弁護士の独占業務ではなくなり、大学教員(助言のみ)、企業法曹(当該企業業務限定)、会計士(その業務関連及び付随書面作成等)等、弁護士の競争相手となっている。 3.外国人弁護士 (1)弁護士資格 EUないしヨーロッパ経済域内国国民は、フランス人と同様。外国弁護士資格者は、原則資格試験があるが、免除の制度あり。 その他の国の国民は相互保証が要件 (2)弁護士活動 EUないしヨーロッパ経済域内国弁護士は、フランス国内でも自由に活動できる。その他の国の弁護士は相互保証要件。 2000年現在外国人弁護士数は982人(EU、アフリカ、米国出身者が大半で,内8割がパリ集中) ※最近では、外国系会計事務所が既存のフランス事務所を買収して危機感あり。 以上:1,236文字
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