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弁護士報酬とクレジット利用の是非

平成21年 1月13日(火):初稿
○仙台に本社のある河北新報の平成21年1月11日号記事に後記弁護士報酬カード決済導入検討の記事が出ています。実は弁護士報酬をクレジットカードで支払うことも弁護士側でクレジット会社と加盟店契約をすれば可能であり、ごくごく一部ですが既にクレジット加盟店契約をして弁護士報酬クレジットカード決済を利用している法律事務所も存在します。クレジットを使うかどうかは各弁護士の判断によるもので、日弁連が規制することは出来ず、クレジットを利用したことで懲戒対象にすることは出来ません。

○しかし特に地方ではクレジットを利用する弁護士は殆どおらず、私自身利用しておりません。それは平成4年に当時の中坊日弁連会長名義での全会員に対するクレジット利用自粛要請があり、弁護士はクレジット利用が出来ないと誤解している弁護士も多いこともありますが、何より地方の多くの弁護士は多重債務整理事件を多く扱っており、クレジットを利用したお客様が途中で支払不能になり弁護士報酬利用クレジット分割債務を支払わなくなった場合の面倒さを考えてのことと推測しています。

○私も所属する日弁連業務改革委員会では相当以前から平成4年中坊クレジット自粛要請解除を主張してきました。私は以前は委員会での審議で解除には強く反対論を出してきましたが、ここ数年は自分は利用する気はないが、他の弁護士が利用することには反対しないという消極的賛成論になっていました。これだけ熱心にクレジット利用自由を求める弁護士が増えている以上、自分は利用しなくても他の弁護士まで利用することを自粛要請するのは行き過ぎと考えたからです。

○消極的賛成論の私は、たとえ弁護士報酬クレジット利用自粛要請が解除され各弁護士の判断に任されたとしてもクレジットを利用する気にはなりません。多重債務事件でクレジット会社を相手にする機会が多く、更に万一お客様が私の業務について不満でクレジット分割支払を拒否した場合、いったん受領したお金を返還するのも不愉快だからです。

○当事務所にも弁護士費用が直ぐに用意できない方が来ますが、支払い出来ない理由は色々で、貧困等の場合は法テラスでの法律扶助利用を薦めて扶助申請書を作成してやりますし、扶助を利用する時間もなく或いは紹介者の顔ぶれ、ご本人のお顔を拝見して長期分割で支払を頂く場合も増えています。

○多重債務整理事件の弁護士費用は10件の内8,9件は分割で分割支払が当然の如くなっていますし、任意整理事件で借入金債務長期分割支払がまとまり毎月一定額の支払をするお客様に弁護士報酬が発生した場合は、毎月数千円単位で数年間に及ぶ長期分割支払等という例も多くあります,と言うより任意債務整理の報酬金はそれが殆どです。

○このような分割支払については桐でシッカリ管理しており、お客様の分割金支払状況が簡単に判るようになっていますので、分割支払を受けることが苦にならなくなりました。クレジット会社の分割支払を利用するよりは小松事務所の分割支払を利用して貰いますが,小松事務所は金利は付かないのでクレジット会社よりは有利です(^^;)。

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弁護士報酬 カード決済検討 慎重・反対論も

 弁護士に依頼者が支払う報酬などについて、日弁連が信販会社を介在させた立て替え払い(カード決済)方式の導入を検討していることが10日、分かった。日弁連はクレジット契約などによる多重債務問題にも取り組み、これまで弁護士と信販会社との提携自粛を求めてきた経緯もあるだけに反発も出そうだ。

 日弁連は昨年11月、弁護士報酬のカード決済を「各弁護士の判断に委ねる」ことへの意見を、今月20日までに回答するよう各地の弁護士会に照会。日弁連は意見をふまえて対応を決める方針だ。

 東北の弁護士会は、仙台を中心に慎重・反対論が多いとみられているが、賛成意見が大勢を占めた場合、3月までに組織決定する見通し。

 従来の自粛方針は1992年、当時の中坊公平会長(元整理回収機構社長)名で出した「弁護士が信販会社と加盟店契約を結ぶのは相当でない」とする「見解」が根拠。信販会社に訴訟内容を開示する場面が生じかねない上、多重債務といった消費者問題を担う弁護士の士気などを考慮した。

 一方、意見照会のきっかけとなった日弁連弁護士業務改革委員会の案は、「信販会社に対し最低限の情報開示にとどめ、対象を無利息の1回払いに限るなどのルールを守るのであれば、カード決済の自粛を求めるべきではない」としている。

 再検討の俎上(そじょう)に載った背景には、(1)税金や医療機関の診療報酬などにもカード決済が拡大している(2)多重債務問題への取り組みで、反社会的な信販業務が規制・淘汰(とうた)されている―など、92年見解時からの「情勢の変化」がある。

 日弁連によると、カード決済はあくまで「自粛」であり「禁止」ではないため、東京や大阪などでは、既にカード決済を実施している弁護士や弁護士事務所が複数存在している。

 一方で、92年見解を受けて自粛している弁護士も多く、カード決済導入の検討は「こうした不均衡状態を解消するのも狙い」(弁護士業務改革委員会)という。

[弁護士報酬] 弁護士に依頼者が支払う費用には、着手金や報酬金、法律相談料、顧問料などの「報酬」と、印紙代やコピー代、電話代などの「実費」がある。カード決済は報酬と実費の両方を想定している。弁護士の費用は個々の弁護士が基準を定めることになっているが、一般的には各弁護士会が標準金額として定める報酬規定に沿って計算されている。
2009年01月11日日曜日
以上:2,324文字

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