平成20年 1月24日(木):初稿 |
○平成20年1月22日、毎日放送TVニュースVOICEで放映された「弁護士に“就職難の時代”到来!!」が話題になっており、テキスト版、YouTube版共によく見られているようです。 ○内容は、大学卒業後アルバイトをしながら弁護士を目指し、17回目の挑戦で司法試験を突破し、平成19年9月、ついに夢の職業弁護士を射止めるも、弁護士事務所の採用試験でことごとく不採用となったAさんの話です。 ○Aさんは就職できず、そこでやむを得ず、いきなり自分で事務所を開業するも、仕事が殆ど無く、収入は月平均およそ25万円で事務所の家賃や月4万円の弁護士会費を支払えば、一人暮らしの生活費を切り詰めても、月20万円の赤字が出て、親からの借金や貯金を取り崩して生活しています。 ○番組は、「賛否両論のある中、増え続ける弁護士。時代が生み出した新人弁護士の将来は、決して甘くはなさそうです。」と結んでいますが、こんなことは合格者3000人の法曹人口増加を決定した時に、とっくに判っていたことです。 ○法曹大量合格による弁護士急増について中部弁護士会連合会は、「収入が下がれば、弁護士のモラルが低下し国民に悪影響をあたえかねない」と反対する決議をして話題になりました。要するに容易に食えなくなった弁護士が、何でも事件にしてしまい、国民を食い物にする恐れが高いと言うことです。 ○しかし弁護士を利用する国民の側から見れば、弁護士が少なくて殿様商売が成り立ち、いつも威張っていて近付き難く、弁護士を選ぶことが出来ない状況よりは、弁護士の数が増え、競争が激しくなり、サービス精神旺盛な弁護士が増え、弁護士の広告も増えて、色々弁護士を選んで依頼できるようになった方が良いと思うのが一般と思われます。 ○中部弁護士連合会決議で心配するモラルの低下した弁護士については、国民の側で淘汰するから心配は要らない、国民を皆食い物にされる馬鹿者ばかりだと最初から決めつけるのは弁護士のおごりであり、折角決まった弁護士増加に水を差すのは国民には余計なお節介だと言うのが、多くの国民の思いではと推測しています。モラル低下者はどの業界にも一定限度必ず存在するからです。 ○Aさんは、番組の最後で「人とのつながりをどんどん増やして、自分のやれることを一つ一つやっていくしかないですね」と言われていますが、正にその通りで、500人時代には弁護士になれなかった人がなれるようになり、弁護士のすそ野が広がったことに感謝して大いに頑張って貰いたいものです。Aさんは、弁護士の資格を取ったことで、今後の努力次第で弁護士としての無限の可能性を持っているのですから。 以上:1,085文字
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