平成19年 6月22日(金):初稿 |
○弁護士が、その使命である人権擁護と社会正義を実現するためには、いかなる権力にも屈することなく、自由独立でなければならず、そのため、日弁連には、完全な自治権が認められ、弁護士の資格審査、登録手続は日弁連自身が行い、日弁連の組織・運営に関する会則を自ら定めることができ、弁護士に対する懲戒は、弁護士会と日弁連によって行われています。 ○弁護士法56条により、弁護士は、弁護士法や所属弁護士会・日弁連の会則に違反したり、所属弁護士会の秩序・信用を害したり、その他職務の内外を問わず「品位を失うべき非行」があったとき、原則としてその弁護士の所属弁護士会の懲戒委員会の議決に基づき、懲戒がなされますが、その懲戒の種類は、次の4つです(同法57条1項)。 ①戒告(弁護士に反省を求め、戒める処分) ②2年以内の業務停止(弁護士業務を行うことを禁止する処分) ③退会命令(弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動はできなくなるが、弁護士資格は失わず) ④除名(弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動ができなくなり、3年間は弁護士資格も失う) ○この弁護士に対する懲戒例は、日弁連機関誌として月1回発行される「自由と正義」に被懲戒者が実名で公告され、最近は、毎月結構な件数の懲戒例が掲載されるようになりました。私も「自由と正義」を受領すると先ず最初に弁護士2名のエッセイ「ひと筆」を読み、次に懲戒例の公告を読むのが日課となりました。 ○「自由と正義」平成19年6月号には、懲戒例が何と19件も公告されていました。内16件は、最も軽い戒告ですが、戒告の事案は身につまされるものも多く、他山の石として我が身を戒める材料となります。次のようなケースは、明日は我が身になりそうなものです。懲戒に至るのは、依頼者の方に、反感を抱かれて、懲戒申立されるからであり、これはまずいと思うような事態になったら、依頼者の方のフォローに努めることが重要です。 ○平成19年6月号の身につまされるケースです。 守秘義務違反例 依頼者との無駄話の中で、紹介者の秘密情報をしゃべってしまったケース(紹介者が前の依頼者で、その事件内容を話して戒告になった事案。紹介者のことは相手も知っていると思ったら大間違いで、余計なことは言わないことに尽きます。) 研修義務懈怠例 弁護士会の倫理研修不出席のケース(これは派手な宣伝等で弁護士会からにらまれている方でした。私も今年の倫理研修出席予定が突然の仕事で欠席しており、心配になりました。) 業務懈怠例 破産申立の準備は出来ているのに、依頼者と連絡が取れなくなり6ヶ月ほど申立が遅れたケース(破産事件では、依頼者と連絡が取れなくなるケースは結構多く、そのような場合に6ヶ月放置すると懲戒になるとすれば、これは気をつける必要があります。) 以上:1,156文字
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