平成19年 6月 4日(月):初稿 |
○岡口裁判官ボツネタ経由で知りましたが、韓国はついにペーパーレス裁判になるとのことです。 以下、平成19年5月31日付けの聯合ニュース(韓国を代表する通信社)の抜粋です。 裁判もペーパーレスに、2009年から段階的導入 【ソウル31日聯合】訴訟当事者らが裁判所に提出する書類について、ウェブサイトを通じてやり取りできるシステムが2009年から段階的に導入される。これにより、裁判所も訴状や答弁書を郵便ではなく電子メールで送信できるようになり、「ペーパーレス裁判」が実現することになる。こうした計画は大法院(最高裁に相当)が10日に明らかにしたもの。 訴訟当事者や代理人は、訴訟の際に「電子訴訟ポータル」のIDとパスワードの発給を受ける。裁判所から「訴訟相手が答弁書を送った」との電子メールを受け取った後、当事者や弁護士らがIDとパスワードを使いポータルから関連書類を確認する。書類を検討したのち、抗弁する部分があればこれもポータルを通じて相手側に伝えることができ、こうした手順で裁判を進めていく。 「電子裁判」が定着することで、書類を減らすことができるほか、訴状などの郵送期間がなくなることから、訴訟期間を短縮できるというメリットもある。 インターネットの利用が困難なケースも考慮し、従来通りに郵便を使った方法も並行したり、書類をスキャンしてサイトに登録する方法なども検討している。 ○私は、平成3年3月に、東北弁連会報に掲載した「パソコン事始め2」の中で「日弁連コンピューター研究委員会の先生方は裁判事件についての訴状や準備書面の交換、更には裁判所作成の尋問調書の取り寄せをパソコン通信で行うことを提案しています。 もし、それが実現できたら記録謄写のため裁判所に足を運ぶ労力が大幅に軽減されます。」と記載しています。 ○当時、パソコンを使い始めたばかりでしたが、必要な裁判記録は、事務員が裁判所の記録謄写室で一枚一枚コピーしてきました。裁判記録の中で記録謄写が必要な部分の大半は、証人や本人の尋問(質問)調書です。時に100頁を超える場合もあり、記録をばらさないままこれをコピーする作業は大変です。 ○そこで副会長として執行部入りし裁判所書記官と弁護士会執行部との協議会の時、尋問調書は特に量が多いと謄写が大変なので、テキストファイルにしてフロッピーにコピーできるようにして頂きたいと提案しました。平成7年のことです。 ○すると書記官側から、何と突拍子もないことを言うのだと言う反応で、ドッとざわめきが起き、皆さん、呆れ顔になりました。当時、書記官は調書は一旦ワープロに入れて記録しますが、担当裁判官の了解を得た上で印刷した後はワープロデータは削除してしまうとのことでした。要するにワープロ入力は清書印刷作業の一環に過ぎずテキストデータとして保管する発想が皆無で、まして弁護士にコピーして渡すなんて全く想定外のことだったのです。 ○時に100頁を超える尋問調書を謄写する作業は記録が厚くなるほど見えにくくなる部分が生じて大変ですが、テキストデータのコピーであれば1秒で終わり、後は事務所のパソコンで必要部分を印刷すれば足ります。さらに尋問調書の一部を援用する準備書面を書くときも、紙の調書だとその部分をいちいち入力する必要があるところ、テキストデータであれば必要範囲をコピーすれば足り、これを利用する作業が大変楽になります。 ○私としてはごく当たり前の提案をしたつもりでしたが、当時は、パソコンオタク弁護士が、何を馬鹿なことを言うのかと言う反応で、全く相手にされませんでした。しかし、あれから10数年経た現在も尋問調書をテキストデータで貰うシステムは、少なくとも仙台地方裁判所にはなく、旧態依然の紙コピーが続いてます。 ○裁判記録全てテキストデータ化されてネット上置かれ、パスワード入力でアクセスしてダウンロードして情報の授受が出来ることをずっと願ってきましたが、韓国は2年後には出来るようです。それに比べて日本の裁判所の状況は………。 以上:1,651文字
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