平成19年 4月26日(木):初稿 |
○後記毎日新聞ニュースの通り、日弁連と日本行政書士会連合会(日行連)が、「街の法律家」の表記を巡って対立しています。 ○弁護士は、英語ではLawyerですが、アメリカのLawyerは、日本の行政書士に相当する仕事をしています。アメリカの法律会計関連業務資格は弁護士と会計士の2種しかなく、アメリカの弁護士は日本の弁護士、司法書士、社会保険労務士、弁理士、行政書士、宅地建物取引主任者等の全てを含めた仕事をしています。 ○日本では、かつて弁護士は代言人、司法書士・行政書士は代書人と言われていました。代書人は、読んで字の如く本人に代わって書面作成するサービス業務であり、代言人は本人に代わって言う即ち主に裁判所で弁論する等のサービス業務で、両者は厳然と区別されていました。 ○ところが書面作成サービスの過程でどうしても相手方との遣り取りも必要になり、司法書士・行政書士も単に書面を作成するだけでなく、本人の代理人として活動する資格も得たいと要求するようになり、弁護士の業務エリアへの食い込みを図り一部認められるなどいわば各士業の間での縄張り争いになっています。 ○弁護士業界は今後人数が急増し、業界内の競争が激化することが確実な情勢であるところ、司法書士等他士業からも業務エリア浸食が始まっており、大変厳しい状況になっております。今まで余りに恵まれすぎていたのであり、今後は大いに自助努力せよとの声も聞こえてきそうですが。 <行政書士>「街の法律家」表記に日弁連が「異議あり」 4月14日15時2分配信 毎日新聞 日本行政書士会連合会(日行連)が行政書士の仕事を紹介するために作ったポスターやパンフレットの使用中止を、日本弁護士連合会(日弁連)が求めている。「街の法律家」や「Lawyer」(法律家)などの表記が、弁護士業務をしているとの誤解を与えかねないとの理由からだ。日行連は「法律に基いた業務をしており、使用をやめる理由はない」との姿勢を崩していない。【大迫麻記子】 問題となっているのは、日行連が01年から自治体に張り出してもらったり、相談会場などで配布しているポスターやパンフレット。「あなたの街の法律家」「Gyoseishoshi Lawyer」などと記し、業務内容を紹介している。 日行連は「行政書士の仕事である書類作成は、法律に基づいたものであり、どこでも誰でも気軽に相談できる」として、「街の法律家」をキャッチフレーズに決定。また、行政書士と同種の職種が欧米にはなく、適切な英語がないことから、「Gyoseishoshi Lawyer」を使ってきた。 これに対して、日弁連は「法律家やLawyerは、法律事務についての代理権を持つ弁護士らに該当する表現。行政書士は、司法機関と無関係の職務で紛争解決の代理権もない」として、昨年12月に、これらの表現の使用を控えるよう文書で申し入れた。 日行連は、外部の専門家を加えた有識者会議を設置して協議。その結果、「誤解を与えないような配慮は必要だが、街の法律家などの表現が、一般の人たちに『弁護士業務をしている』との誤解を生むとは思っていない」(木村正二・専務理事代行)として、「使用を続ける」との回答書を先月末、日弁連に出した。 日弁連の出井直樹事務次長は「回答は了承しかねる。適切な解決に向け、今後も協議していきたい」としており、キャッチフレーズ使用をめぐる対立の溝は埋まっていない。 ◇行政書士◇ 依頼を受けて役所への書類の作成や提出を代理で行う。国家試験の行政書士試験に合格するか、国や地方の公務員として一定期間、行政事務を担当すると資格が得られる。日弁連と同様、活動するには、各都道府県の行政書士会を通して日行連に登録しなければならない。07年2月末現在、全国に3万9127人いる。 以上:1,565文字
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