平成18年 3月 9日(木):初稿 |
○私は、平成13年2月作成の「これからの弁護士」で次のように記載していました。 「私は昭和55年4月から弁護士業務につき、間もなく21年を経過する。この21年間、弁護士業務はサービス業としてみる限りは実に恵まれていると思い続けてきた。顧客を叱りつけ、顧客を選択し、気にくわない顧客の事件は受けないと言う贅沢が許 されながら継続できるのは、今や弁護士位ではないかと思う。この贅沢が許されてきたのは、やはり①法律事務独占、②少人数での寡占、③統一料金と広告禁止の競争排除原理と言う三大特権が付与されていたからと考えてきた。」 ○どのような商売でも他との競争する必要もなく安泰に商売が出来ると顧客満足なんて精神も不要で殿様商売になりがちです。実際、私自身、弁護士になってしばらくの間、商売的に見たら他との競争もないので宣伝・広告の必要もなく、料金も弁護士会がガッチリ統一料金を定めており、これを守れば良く、客を取るため値下げをする必要もなく、気に入らない客の事件は受けなくても商売は成り立ち、なんて楽な商売だと思っていました。勿論、仕事の中身は到底楽とは言えませんが。 ○私はこのような独占・寡占・競争排除の三大特権で守られた弁護士稼業は何れ反発を買って今まで通りにはいかなくなるだろうと思っていましたが、司法改革の美名の元、弁護士の特権は悉く奪われつつあり、私の予想通りになりつつあります。 ○弁護士に三大特権があったという表現自体を「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」弁護士の地位をないがしろにすることである非難する同業弁護士も多く居ます。そのような方の論拠には、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」弁護士の地位は、普通の商売と違って競争原理には馴染まないということもあります。 ○しかしそれは弁護士だけの考えであり、一般の方には、なんだかんだ理屈をつけて既得権を守ろうとしているだけに過ぎないと思われているのだろうなと推測しております。私は、僅か1回の試験に合格したことを持って後は一生安泰が保障されるような資格制度は基本的に間違っていると確信しております。 ○弁護士資格取得者が1500人に増えた平成18年ですら資格を取得しても就職先が不足しているとと騒がれ、ましてや2600人もの弁護士資格取得者が誕生する平成19年はその就職先をどうするのかが日弁連の大問題になっております。 ○しかしこのような事態になることは合格者を増やすことが決まった段階で予想されていました。それを承知で弁護士資格を目指した訳ですから自己責任で頑張って貰うしかないと思っております。 以上:1,088文字
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