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弁護士数の変遷と経済状況ー映画「黒の奔流」紹介

平成18年 3月 7日(火):初稿
○平成18年3月6日に放映されたNHKクローズアップ現代「弁護士は増えたけれど」が法曹の間で話題になっています。特に,日弁連会長が国谷裕子キャスター「この格差是正の鍵はずばり何でしょうか?」と言う問いに「それは,若い人の意識です。頑張ろうという意識です。」と答えたことがやり玉に挙げられています。自分たちは都会で仕事をして若い弁護士は田舎へ行けと言うのは余りに無責任ではないかと批判する意見があります。

○日弁連HPの会員数の推移を見ると弁護士数は私が大学に入学した昭和46(1971)年には8500人程度だったものが、平成17年(2005)年には2万2000人程度と2.6倍に増えています。これだけ増えても弁護士は都会に集中し、田舎の弁護士過疎状況は殆ど変わらないようです。私の郷里気仙沼市では昭和46年頃は2名でしたが、35年後の平成18年現在も2名と変わらず今般公設事務所が設置されることが決まりました。

○昭和47年大学2年の時、松本清張原作の「黒の奔流」を見ましたが、冒頭と最後の場面が強く印象に残っています。山崎努扮する若き矢野弁護士が東都弁護士会の国選事件受付で国選事件ファイルを見ている時に同業弁護士から仕事は忙しいかと声をかけられます。

○これに対し矢野弁護士は、「暇なんですよ。せめて国選でもやって細かく稼がないとね。」と答えます。その後、矢野弁護士は、岡田茉莉子扮する女中藤江の殺人事件を国選で受任して無罪を勝ち取り名声を上げ松坂慶子扮するブル弁の娘と婚約して順風満帆に行くかと思ったら女中藤江に足を掬われ自滅します。

○そして最終場面は再度東都弁護士会国選事件受付です。国選事件ファイルを見ている若い弁護士が登場し同業弁護士に声をかけられ、「暇なんですよ。せめて国選でもやって細かく稼がないとね。」と冒頭の矢野弁護士と同様に答えるところで映画は終わります。

○この映画で矢野弁護士の事務所は列車の音がうるさいガード下の薄汚れたビルの窮屈な一室でいかにも若い弁護士は生活も大変なように描かれています。松本清張氏の小説は綿密な取材に裏付けられた実情を描くことに定評があり、おそらく当時の若い弁護士の実態は、このようなものだったと思われます。

○最近の都市部の特にビジネス弁護士と称される弁護士のリッチぶりから弁護士は、儲かる商売との誤解も生じているようです。しかし中には才能を生かして大いに稼いでいる弁護士も居るでしょうが、私自身は、平均的には、弁護士は稼げる商売とは思っておりません。

○私自身は、弁護士1年生時代からサラ金事件が多く、「暇なんですよ。せめてサラ金事件でもやって細かく稼がないと。」と言って細々と仕事を続けております。
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