平成17年 4月21日(木):初稿 平成17年 5月15日(日):更新 |
○平成17年3月18日の更新情報でやや詳しく記載しましたが、アメリカの裁判は民事も刑事も陪審制が採用されています。日本の法曹は、陪審制に懐疑的な人が多く、私自身も今回の訪米前は、陪審制反対論者でした。事実認定訓練をしていない素人が判断できるはずがないと決めつけていたのです。 ○しかし今回サンフランシスコで訪問した弁護士事務所の弁護士がこれまでの経験で揺るぎなく陪審制を信頼しているとの話を聞き考えが変わってきました。10数人の陪審員が合議している内に落ち着くべきところに落ち着くと言う言葉に説得力があったからです。 ○陪審制の問題は訴訟に費用がかかることです。日本に比較すると相当高い弁護士費用に加えて陪審員費用もかかり、証人尋問を長時間繰り返す本格的訴訟では、莫大な費用がかかることになり、訴訟に至らず簡易・迅速な解決の需要も多くなります。 ○そこで登場するのがADRと総称される裁判外紛争解決制度です。アメリカはADRの本場で、Arbitration(アービトレーション、仲裁)、Mediation(ミディエーション、弁護士などが紛争当事者の間に入って行う調停)、Settlement Conferences(セトルメントカンファレンス、日本の裁判所で行われる調停に近いもの)などがあるそうです。 ○私達はサンフランシスコのAAA(American Arbitration Assocation、アメリカ仲裁協会)を訪問して色々話を伺いました。日本の調停との違いは、利用する側でArbitrator(仲裁人)を選択できることです。 日本の調停制度での調停員は地方の名士などがなる一種の奉仕的名誉職となっていますが、アメリカのArbitratorは時給もかなり高く正に紛争解決ビジネスという感じです。 ○渉外弁護士として活躍されるK弁護士の話では、実際利用したLos Angelesの仲裁協会JAMSは、都心の40階建てビルの30数階のワンフロアーを借りており、見晴らしがよくて、全く裁判所の硬い雰囲気ではなく、紛争解決ビジネスのオフィスという感じだったそうです。 ○HPでArbitratorについての情報公開がなされており、利用者はHPでその経歴、得意分野等を確認した上で自分の抱える紛争を解決するために適切を思われるArbitratorを選択出来るそうです。 JAMSのHPでは、locationをクリックして、たとえば、場所のLos Angelesを選択すると、そこに所属するアービトレーターの経歴が、顔写真付きで紹介されています。 以上:1,057文字
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