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ある程度の退職金がある場合の自己破産手続

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平成19年12月22日(土):初稿
○Aさんは、ある企業に15年間勤務し、月額手取り25万円程度の給料を得ていましたが、5年程前からサラ金・クレジットに手を出し、現在サラ金クレジット債務が1000万円近くに膨れ上がり、毎月の約定返済額は金利だけで20万円近くになり、支払不能状態となりました。

○Aさんの資産としては現時点で退職すると400万円になる退職金債権だけしかありません。この事例で弁護士に依頼して自己破産開始決定手続を取る場合、退職時及び退職金受領時との関係でどの時点で手続を取れば最もAさんにとって有利か考察します。

直ちに会社を自己退職し退職金400万円を受領して自己破産手続を取る場合
Aさんは、現金400万円(※退職金もいったん受領すると全て普通財産)の資産を有していますから、通常管財事件となり、申立弁護士費用通常30万円、裁判所への予納金30万円の合計60万円を差し引いた340万円が実質財産となり、これを管財人に提供する必要があります。自由財産拡張申立をして99万円が自由財産と認められれば、99万円を差し引いた241万円を管財人に提供することになり結局Aさんの手には99万円しか残りません。

会社を退職する前か退職しても退職金を受領する前に自己破産手続を取る場合
Aさんは400万円の退職金請求権を有していますので通常管財事件として破産申立弁護士費用及び裁判所への予納金合計60万円が必要で、これを身内・親戚等に一時立て替えして貰って準備し、退職していない場合は、破産手続開始決定を得て破産管財人が就任後に退職し、この退職金は破産管財人に請求して貰います。この場合、破産財団に組み込まれるのは4分の1(※退職すると4分の1)相当額の100万円だけであり、残り300万円はAさんの自由財産として取得できます。結局、Aさんの手には400万円から160万円差し引いた240万円が残ります。

会社を退職しないまま破産手続を取り破産終了後に退職する場合
Aさんは400万円の退職金請求権を有していますので通常管財事件として破産申立弁護士費用及び裁判所への予納金合計60万円と更に400万円の退職金の8分の1(※退職しないと8分の1)相当額50万円の合計110万円を身内・親戚等に一時立て替えして貰って準備し、50万円の配当手続を経て破産手続が終了し廃止決定を得れば、その後の退職金は全て自由財産となりますので、立替金110万円を差し引いてもAさんの手には290万円が残ります。

○以上3例をごく大雑把・概括的に検討しましたが、退職しないで事前に自力で弁護士費用や予納金を準備できず、また援助してくれる身内等居ない場合どうするかとの問題があります。法テラスでの法律扶助を利用する手もありますが、30万円の予納金までは援助してくれるかどうか不明であり確認の上報告します。
以上:1,162文字

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