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景気好不調と多重債務整理事件数との関係

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平成19年 1月29日(月):初稿
○平成18年11月30日の「1年ぶりの石巻法律相談センター担当雑感」に記載したとおり、債務整理事件が減る傾向にあったかと思いましたが、平成19年に入ると又増加傾向にあるようです。平成19年1月下旬の仙台弁護士会法律相談センターの一般相談担当日には、12件の有料一般相談があったのですが、何と内10件が消費者多重債務整理相談でした。

○たまたまその時だけ多重債務相談が集中したのかと思って弁護士会職員に聞いてみるとその日だけではないとのことで、平成19年に入って多重債務相談は増えているようにも感じます。統計的には、小泉政権になって景気は回復し、「2002年2月から始まった景気拡大期が平成18年11月月で4年10カ月(58カ月)に達した。22日に大田弘子経済財政担当相が11月月例経済報告を提出。景気拡大が「いざなぎ景気」を超えたと判断した。」なんてニュース報道もありますが、多重債務相談を受けていると、景気が良くなったとの実感は湧きません。

○私は昭和55年に弁護士登録し、その年の秋に仙台市無料法律相談で、ある老人のサラ金整理事件を扱って以来、一貫してサラ金債務整理事件が多く、昭和57年5月に勤務弁護士から独立した当初5~6年は、取扱事件の半分以上がサラ金整理事件であり、これと裁判所から依頼されるサラ金破産管財事件の収入で事務所経営がようやく成り立つ状況で、サラ金事件が無くなったら食べていけるだろうかと不安の日々を過ごしていました。

○昭和62,3年頃からバブル期に入って、景気は急上昇し、1億総投資家と化し、株価と土地価格が暴騰し、今思うと正に狂乱の時代でしたが、弁護士収入に占めるサラ金事件の割合は減り、サラ金事件依存体質は少しずつ改善されてきました。しかしサラ金事件の数自体はさほど減ったという感じはしませんでした。

○一般に景気が悪いとサラ金利用度が高まると思われがちですが、昔、サラ金利用度統計等を調べたところでは、景気がよい方がサラ金利用度は高くなるようでした。景気が良くて給料が上がるなど収入が上がると、サラ金の高金利も気にならずに借入をして物を買う等の乱費に走る人が多いようです。

○ですから景気とサラ金利用度の関係は、一般論としては景気がよいとサラ金利用も増え、景気が悪くなって収入が減り支払が大変になると弁護士等専門家への相談が増えると言う循環ではないかと思っております。今年、多重債務整理相談が増えるかどうかは、今年の日本の景気とも関連しており、どのように変遷するか、現時点では何とも言えない状況です。
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