平成25年 9月24日(火):初稿 |
○「ホテル等での聴覚障害者に対する配慮不足-日本語字幕に無頓着」を続けます。 私は、難聴のため補聴器がないと他者とコミュニケーションが取れず、また、補聴器をつけていてもTV番組は、原則として日本語字幕がないとその音声を完全に聴き取ることが出来ません。一部、聴き取ることが出来ても、ひそひそ話や、場面の展開で小さい声で話す音声は聞き取れず、一部でも聴き取れないと全体が理解出来なくなります。ですからTV番組は、日本語字幕が必須になります。 ○昔のアナログTVの時代は、日本語字幕を表示するためには字幕デコーダーを装着する必要がありました。しかし、現在のデジタルハイビジョンTVは、字幕デコーダーが内蔵されており、リモコンには字幕表示ON・OFFのボタンがついているのが普通です。そこで我が家のTVは、いつも字幕表示をONにしています。少し前までは、日本語字幕表示がつく番組はNHKだけでしたが、最近は、民放の多くの番組でも字幕表示がつくようになり大変有り難いと思っております。 ○ところが、聴覚障害者にとって大事なこの日本語字幕表示は、健聴の方には、邪魔と思われているのか、公共施設に設置されたTVで字幕表示がONになっている例を余り見たことがありません。最近、宮城県対がん協会検診センター、社会保険病院等の待合室でTVを見る機会がありました。いずれも30インチ以上のデジタルハイビジョンで、字幕表示機能がついているはずでしたが、いずれも字幕表示がONになっておらず、また、リモコンは置いてなく、チャンネル変更等の操作は係員以外出来ないようになっています。 ○健聴の方にとっては字幕表示は邪魔で不要と意識されているようです。しかし、病院等公共施設では、聴覚障害者が利用する可能性が常にあります。聴覚障害者でなくても、高齢となって耳が遠くなって居る方にとっては、字幕表示は必要と思われます。ですから、公共施設でのTVは原則として字幕表示をONにして貰いたいのですが、日本ではまだまだ聴覚障害者に対する情報保障の意識が薄い時代が続いています。 ○その顕著な例が、我が職場とも言える裁判所です。平成17(2005)年3月11日初稿「サンフランシスコ報告5-法廷の補聴システムに大大感激」にサンフランシスコ裁判所の法廷では「裁判官も証人も代理人もマイクをシッカリ使用して難聴の私にも聞き取れる様にハッキリ話していました。」、「更に感激したのはワイヤレスヘッドホンがついて傍聴席のお爺さんが利用しながら傍聴していたことです。難聴の私は法廷のワイヤレスヘッドホンシステムを切望しながら、夢の又夢と諦めていたもので、このシステムを目の当たりにして大大感激でした。」と記載した通り、聴覚障害者に対する情報保障の意識が徹底しています。 ○これに比べて日本の裁判所の法廷では、聴覚障害者に対する情報保障の意識が全くない裁判官が多く、もっと大きな声でハッキリと話して下さいと願いたい裁判官が殆どです。裁判は公開が大原則で、「公開」とは、「情報保障」であり、「情報保障」とは、何が行われているかが、傍聴席にいる聴覚障害者でも判るようにすることである、と言う意識がアメリカの法廷では徹底しています。しかし、日本の裁判所には、この意識全く稀薄です。 ○静岡大学教授石川准・関根千佳両氏の「米国の社会背景と字幕の歴史」と言う論文を掲載したサイトが見つかりました。「はじめに.2007年には、米国の放送にはすべて字幕が付くという。地域パレードなどのごくわずかな例外を除いて、放送メディアはあらゆる番組を、「誰もが楽しめる」ものとして提供しなくてはならない。しかし、そのことを、米国の放送業界は、それほど負担に思っているようには見えない。それは、字幕というものが、成り立ってきた経緯と、成果によるところが大きいのではないだろうか? 」と始まる結構長文の論文です。 この論文で、アメリカの情報保障意識について勉強しようと思っております。 以上:1,634文字
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