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2025年04月16日発行第387号”弁護士のレトリック ”

令和 7年 4月17日(木):初稿
○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和7年4月16日発行第387号「弁護士のレトリック」をお届けします。

○今回の大山ニュースレターを読んで1963(昭和38)年製作映画「クレオパトラ」を思い出しました。映画「十戒」等と並ぶハリウッド超大作映画で、平成の初め頃、旧宅AVルームで映画に夢中になっていた頃、LDで何回か鑑賞していました。エリザベス・テーラー氏がクレオパトラ、レックス・ハリソン氏がシーザー、リチャード・バートン氏がアントニーと役者も当時の豪華メンバーでした。

○シーザーの暗殺シーンや遺体の火葬場面等は覚えているのですが、リチャード・バートン氏も当時の有名俳優で、その端正な容姿は良く覚えているのですが、レトリックを駆使した名演説場面は全く覚えていません。4KUHDソフトは発売されていませんが、BDソフトは発売されていたので、早速Amazonに注文しました。映画でも「お前はジュリアス・シーザーの食べ残しの残飯だった!」との名セリフがあるか確認します(^^)。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のレトリック

アントニーと言えば古代ローマの英雄です。シーザーを皇帝にするために活躍した人ですが、シェイクスピアの劇にも登場します。反対派によって暗殺されたシーザーの為に、市民の前で追悼演説をする場面がとくに有名です。反シーザー派を刺激しないように、「私はシーザーを称えるためではなく、葬るために来た」という言葉から始めて、要所要所で反対派を持ち上げます。それでいながら、巧妙にシーザーがどれほどローマ市民のことを考えていたのかを説明して、シーザー暗殺者の方が悪かったのだと、市民たちに思わせる内容となります。まさに、レトリックを駆使した名演説として有名なのです。

言葉で勝負する弁護士としても、見習いたいものです。先日乗ったタクシーの運転手さんから、面白い話を聞きました。運転手さんに暴力を振るって刑事事件となる人はかなりいます。私も何件もそういう事件の弁護をしました。その話題になったときに、運転手さんは、「運転手仲間では、あいつはいつか必ず殴られるぞって分かるんですよ。本当に態度が悪い運転手っていますから」と教えてくれたんです。いうまでもなく、暴力をふるう人が悪いに決まっています。ただ、盗人にも三分の理ですから、被告人としても言いたいことはあります。それを、上手いレトリックでそれとなく、相手方にも問題があったとわからせるように話すのも、弁護士の役割となります。

ただ、こういうのはどうしても言い訳がましくなりますから、被告人が自分自身で言うのは止めた方が良いのです。そう言ってとめるんですけど、どうしても言い訳がましいことを言う人は一定数居るのです。痴漢事件の裁判で、「たとえどのような理由があっても、してはならないことでした」なんて発言する被告人がいます。でもこのセリフは、誰が見てもやむを得ない事情があるときにのみ使用可能なレトリックですよね。これを聞いた検察官から、「どのような理由があってもって、あなたの場合、痴漢するどんな理由があったのですか?」なんて聞き返されてました。ううう。。。

そう言えば少し前に、維新の会の議員の不祥事がありました。そのことに対してコメントを求められた橋下徹弁護士のセリフに感心しました。「10年前に脱退しているが、15年前に維新の会を設立した者として責任を感じている」んだそうです。さ、流石に誰が見ても今回の不祥事とは関係ないやろ! そういうときに、「責任を感じる」と言うのが、正しいレトリックの使い方です。でも、皆がみんな橋下弁護士のように正しく使えるわけではありません。先日、横領事件を起こした人が、「自分の管理不足でこのような事件を起こしてしまい、申し訳ありませんでした」と謝罪しました。この人は管理職だったので、以前部下が問題を起こしたときにも謝罪していたようです。それにしても、自分で起こした横領事件に、「管理不足」はないだろうと、突っ込みを入れたくなったのです。

シェイクスピアの劇に出てくるアントニーの話に戻ります。名演説によって市民を味方につけて、シーザーの敵討ちをしたところまでは凄い人でした。ところが、その後アントニーはエジプト女王クレオパトラに夢中になり、ローマでの責任を放棄してしまいます。アントニーの奥さんは、ローマ1の美女であり才女と言われた人です。弁護士として、夫の不貞事件をいくつも見てるんですが、不貞相手よりも奥さんの方が魅力的だと思う場合が多いと思うのです。クレオパトラは、かつてシーザーの愛人でした。「シーザーの女を奪ってやった」みたいな気持ちもあったのかもしれません。そんなクレオパトラと喧嘩別れするときの、アントニーのセリフが凄い。「お前はジュリアス・シーザーの食べ残しの残飯だった!」 あまりな言い様ですが、「レトリックの名手は、悪口にも破壊力あるな」と思わず笑ってしまいます。でも、折角の才能をこんな風に使うのは惜しいな、と感じたのでした。

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◇ 弁護士より一言

還暦を過ぎると食欲も減退するそうですが、私の場合は食べ過ぎて、すぐに太ってしまいます。お、お恥ずかしい。。。 妻からは、「パパはもう少し痩せた方が素敵だよ!」と言って貰えています。「私の管理不足で食べ過ぎてしまい、申し訳ありませんでした」と言い訳なんかしたら、呆れられそうです。痩せて、妻に惚れ直してもらえるように頑張ろうと思ったのでした。。

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