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2023年07月16日発行第345号”ソフィスト弁護士の弁護”

令和 5年 7月16日(日):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和5年7月16日発行第345号”ソフィスト弁護士の弁護」をお届けします。

○令和5年の6月いっぱいは、ネットには広末涼子氏のW不倫関係記事に溢れていましたが、7月になると激減し、7月初めから、急死したタレントのryuchell氏関係の記事に溢れ、それも半ばには少なくなってきました。人の噂も75日ですが、ryuchell氏急死の原因も他人からの執拗な攻撃のようです。

○畏敬する谷沢永一先生の「人間通」では「嫉妬」について方々で言及し、「狐色」の見出しでは、「嫉妬心は人間の本性であり、いつも心のなかに蟠り疼いている。それを除きとり消し去る方法は絶対にない。」と断言され、松下幸之助氏の名言として「嫉妬心は狐色に程よく妬かねばならない。」を紹介しています。不倫に限らず、他人の攻撃をしたがる人は、「狐色」に妬けない正直な人との評価になるのでしょうが、なかなか弁護は難しいですね。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

ソフィスト弁護士の弁護


人気女優と有名シェフの不倫が、ネットで炎上していました。二人のラブラブな交換日記まで暴露されるヒートぶりです。女優はコマーシャル契約も解除されたうえ、多額の損害賠償も請求されるそうです。もちろんネットでも散々叩かれていました。しかし考えてみますと、こういう不倫スキャンダルは大昔から人々の関心を引いていたようです。

三千年ほど昔の、古代ギリシャでも有名な不倫スキャンダルがありました。ギリシャ1の美女とうたわれたスパルタの王妃が、トロイの王子と不倫した末、夫と子供を捨てて駆け落ちしたという事件です。この王妃は悪女の代表みたいに非難されてました。そんな中、ソフィストが王妃を弁護する為に書いた文書が、現代まで残っています。ソフィストというのは、詭弁家みたいに訳されている人達です。古代ギリシャで、たとえ詭弁と言われようとも、雇い主の為に弁論した人たちです。まさに、現代の弁護士にも通じるところのある人たちなんです。

「不倫のうえ駆け落ちした悪女でも、自分なら弁護できる」という、デモンストレーションの文章です。弁護のポイントは3つあります。1つ目は、不倫と駆け落ちは神々の決めた運命だから、人間がどうこうできるものではないという論拠です。確かにそうかもしれませんが、これで納得する現代人はほとんどいないでしょう。2つ目は、トロイの王子に無理やり暴力で攫われたのかもしれなという論拠です。確かにそれなら被害者ですね。もっとも、ラブラブな交換日記など出てきたら、この弁護は役に立たない。3つ目の弁護は、王妃の地位も、可愛い子供達も捨てて駆け落ちをしたのは、「恋の病」に罹ったからというものです。恋の病も病気である以上、自分の力で熱を冷ますことはできないので、責任は生じないということです。

なんか、弁護なのか、煽っているのか分からないような論拠です。。。ただ、ソフィストの様に、「みんなに非難されている人を弁護する」のは、弁護士の本懐です!もっとも、不倫した女優をかばうような意見も、ネットで目につきました。「結婚しているからって、恋愛しちゃいけない理由はない」といった、過激な意見もありました。このように、不倫した人を弁護する見解は、今も昔もあります。その一方、「他人の不倫を攻撃する人」は、昔も今も多くの人達から非難されるだけです。「自分と関係ない人のことをとやかく言うなんて、本当にくだらない奴だ」みたいに言われてます。これまで誰からも弁護されたことのない人達です。

そんな人達を、ソフィストに倣って私が弁護しちゃいます。弁護のポイントは3つあります。1つ目は、他人を攻撃したがるという性質は、神の定めた運命だということです。う、運命ならしようがないはずです。2つ目は、結婚というのは、当事者だけの私的な問題ではないということです。憲法では、両性の平等と個人の尊厳に基づいて、結婚の制度を定めるように要請しています。結婚というのは、国が「制度」として定めた公的なものです。その制度の一部として、不倫の禁止も定められています。そうだとすれば、不倫は、国の制度に対する反逆といえちゃうのです!そのような反逆に対して、国の制度を守るのは、国民の義務です。不倫したものを攻撃する人達は、「いかに非難されようとも、国の制度を守るために戦うぞ!」という立派な人たちなのです。3つ目の論拠は、不倫した人を攻撃する気持ちは、「嫉妬の病」によるものだということです。「自分はこんなに退屈な毎日を送っているのに、あんなに楽しそうに不倫しているのは許せない!」という気持ちです。この「嫉妬の病」は「恋の病」と同じくらい強烈です。ひとたび罹患すれば、人がコントロールできるようなものではありません。わ、私も思い当たることが多々あるのです。というわけで、私の弁護で少しでも、「他人の不倫を攻撃する人」を大目に見て貰えたなら、とても嬉しく思います。

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◇ 弁護士より一言

ソフィストは詭弁を駆使して、最終的には実益を得ることを目的としています。そこで、空理空論の「哲学」をしている人に、こんなお説教をします。「若い頃は哲学をするのも、良家の子供として良いことだ。でも一定の年齢になれば、世の中の役に立つ学問をしないといけない」若い頃この考えに反発しましたが、今になると同じことを自分の子供に言っているのです。
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