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2021年06月16日発行第295号”コンニチハ弁護士さん”

令和 3年 6月17日(木):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和3年6月16日発行第295号「コンニチハ弁護士さん」をお届けします。

○「多くの人が、”被告”と呼ばれると、犯罪者と認定されたみたいに思います」は、正にその通りで、裁判で訴えられ「被告」と肩書きをつけられた方から、自分を「被告」するとはけしからんと怒りを示されたことが多くあります。

○この「被告」と言う表現が嫌われる理由は刑事事件の「被告人」と混同するからです。刑事事件の被告人は犯罪者(と疑われた人)ですが、民事事件の被告は、単に訴えられただけですと説明しても、どちらも「被告」と言う言葉が入っているため、区別が紛らわしく、多くの人は犯罪者呼ばわりされたと誤解します。

○そこで、訴訟大国アメリカでは、民事事件・刑事事件の訴えられた側を何と表現しているか調べると、民事訴訟では「a defendant」、刑事訴訟では「an accused」とされており、意味も語形も明確に分かれています。「defendant」は、「defend=守る」が、「accused」は、「accuse=告訴する」が語源です。

○これからは、被告とされて憤っている方には、「an accused」(刑事被告人)ではなく、「a defendant」(防御者)ですから、何ら恥じることはありませんと説明します。ちなみに英語では、刑事告訴は「accuse」、民事訴訟提起は「sue」と明確に区別されているようですが、日本語では、民事も刑事も「告訴」と使うこともあり、ここでも紛らわしくなっています。今回も大山先生のお陰で勉強になりました(^^)。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

コンニチハ弁護士さん


20世紀で一番悪名高い人と言えば、恐らくナチスのヒットラーだと思います。悪い人ですが、魅力的な人でもありますね。未だに映画などにもなっています。先日見たドイツの映画では、ヒットラーが現代で復活するというものでした。蘇ったヒットラーを、周りの人たちはお笑い芸人のように扱います。面白いからと、テレビ討論会などにも出すんです。ところが、本物のヒットラーの強烈な個性、断固とした政治姿勢などに、多くの人たちが魅了されていくという話でした。実際問題、ヒットラーの「我が闘争」なんて、今でも通用するアドバイスがてんこ盛りですね。「政敵について、ここは評価するなどと間違っても言うな。徹底的に叩け」なんて言う教えは、日本の人権派と言われる弁護士達も実践しているのです!(と、ついつい余計なことを言ってしまいます。)

ヒットラーも悪名高いですが、第2次大戦中の日本も、欧米ではメチャクチャ悪の化身として描かれています。アメリカで暮らしているときに、テレビで戦争中の日本を放送するときには、必ずみんなでそろって「バンザイ」をしている場面が出ていました。「バンザイ」は、軍国主義日本の象徴になっているようです。以前一緒に仕事をしていたドイツ人の弁護士は、どんなときにも日本人と一緒にバンザイをすることはありませんでした。彼女と雑談していたとき、「日本の万歳は、ドイツのハイル ヒットラーみたいに評判が悪いんですね」なんて、軽い気持ちで話しました。すると彼女は、心底憤慨したといった表情で言ったのです。「ハイルというのは、英語のハローと同じで、コンニチハというだけの意味よ。何だって、コンニチハ ヒットラーさんというだけで、軍国主義だと思われないといけないの?」

そんなこと言えば、日本のバンザイだって、「万年も栄えますように」というだけのことじゃないかと、言い返したくなったのですが、英語を考えるのが面倒なので、黙ってしまったのでした。しかし考えてみますと、もともとは普通の言葉のはずが、人々の意識の中では重要な意味を持つなんてことはよくありそうです。日本では中国のことを「シナ」というのは、差別用語みたいになっています。シナは英語のchina と語源が同じですから、差別とはもともと関係ないはずですけど、そんなことを言っても通用しそうにありません。言葉本来の意味よりも、多くの人がその言葉にどういうイメージを持つかの方が、よほど重要なんですね。

弁護士の仕事でも、こういうことはあるのです。内容証明郵便というのがあります。これはもともと、どういう内容を相手に送ったかを証明するための郵便でした。法律上、一定の時期までに、一定の内容の意思表示をしないといけないような場合があります。そういうときに、そのようにしたという証拠を残すために使うのが内容証明郵便です。しかし現状多くの人が、そうは思っていませんね。別に証明する必要もない場合でも、「何か凄いこと」を相手に伝えるために用いるのが、内容証明だと思っている人の方が多数派のようです。

まあ、このくらいの誤解は、特に大きな問題も生じないでしょう。しかし、裁判のときに使う「原告」「被告」という言葉は、単に誤解されているだけでなく、現実にも大きな問題を生じさせています。法律家にとっては、裁判で訴えた側を原告、訴えられた側を被告と呼ぶだけです。ところが多くの人が、「被告」と呼ばれると、犯罪者と認定されたみたいに思います。感情的に反発して、それだけで、まとまる話もまとまらなくなります。コンニチハの意味でもハイルヒットラーを使わない方が良いように、裁判でも「被告」は使わない方が良いと思うのでした。

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◇ 弁護士より一言

以前は仕事で普通に英語を使っていました。先日、家族でいるときに、久しぶりに英語を使う機会があっあので、ここぞと思って話したら、娘が心底感心したという感じで言ってくれました。「パパ、本当に凄い! 中学英語の文法と単語で、よくそんな話せるね。パパのこと、中学英語の神と呼ぶよ!」あ、アホか。そんな誉め言葉、少しも嬉しくないのでした。。。
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