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2020年11月16日発行第281号”落語弁護士の犯罪”

令和 2年11月17日(火):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和2年11月16日発行第281号「落語弁護士の犯罪」をお届けします。

○このコロナ不況の時代に大山先生のところは、弁護士2名を新たに採用されて、事務所もより広くオフィスに移転したのこと、流石、大山先生、コロナ不況を逆手にとってお客様を開拓されているようで、羨ましい限りです。

○飲食店の箸の束を口にくわえた写真をSNSに投稿して逮捕されたとのニュースですが、刑事事件から離れて10数年になった私には、器物損壊罪くらいしか思いつかなかったのですが、以下の偽計業務妨害罪で逮捕されたのですね。
刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)
 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。


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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

落語弁護士の犯罪


落語は、楽しく聞いて笑うものですから、「犯罪」とはあまり関係ないですね。もっとも、円朝の真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)みたいな怪談物は、殺人事件なんかが盛り沢山です。金貸しの医者を、食い詰めた武士が殺す。その後の、お互いの子孫たちに続く因果話です。亡くなった桂歌丸師匠のライフワークでして、私も「豊志賀の死」なんて3回も聞きました。

豊志賀は殺された医師の30過ぎの娘で、芸事の師匠をしていて、身持ちが固いということで人気があります。そんな豊志賀が、出入り業者の、10代の若者に夢中になる。お互いに知りませんが、この若者は、殺人犯である武士の息子なんですね。初めはおどおどしている若者が、段々と増長していく。初めはリードしていた豊志賀が、嫉妬に狂っていく。そうした愛憎のもつれから起こる殺人事件。

こういうの、歌丸師匠、本当に上手かったなあと思うんです!と、長々と書きましたけれど、落語でこんな深刻な犯罪は、怪談話以外はほとんどないですね。「出来心」なんて「住居侵入窃盗罪」の落語ですが、盗みに入る方も、入られる方も、ほのぼのしています。食い詰めて盗みに入って、いろいろ探したが、盗るものなど何もない。住民が帰ってきたので、とっさに身を隠す。家を荒らされているのを見た住人は、家賃を盗まれたことにしようと考える話です。「裏は花色木綿。暖ったかくて寝冷えをしない」なんて、落語ファンの人なら、頭にこびりついているフレーズです。

この話は、落語ということですから、笑って終わりですが、現代社会でこのような事件が起きたら、どちらも厳しく処罰されそうです。「高津の壺」なんて落語もありますが、これなんてまるっきり詐欺罪です。壺を買うときに、まず小さい壺を買う。やっぱり大きい方が良いと、買った壺を返還して、ごちゃごちゃする中で、壺をだまし取るという話です。自分が壷屋さんだと思うと、とてもじゃないけど笑えません。

こういった詐欺の話、落語には多いですよね。「時そば」は流石にバカバカしくて、私でも笑ってしまいますが、詐欺であることには代わりないのです。お金を払うときに、銭を一枚二枚と数えながら渡す途中で「今、何時で?」と質問します。そこで「10時で」なんて答えると、11、12とそこから数えるという話ですね。いずれにしても、落語の世界では、好き勝手に振舞う人甘い気がします。それで迷惑を受けている人たちを笑い飛ばすんです。

「長屋の引越し」なんて落語では、三軒長屋の真ん中に住む人が、両隣の騒音に迷惑しています。何とか出て行ってもらおうと頑張った結果、両隣とも引越しをすることになった。喜んでお餞別を渡したら、両隣がそれぞれ相手のところに引越すことにしたという落ちです。こんな落語では、騒音やごみ屋敷に悩んでいる現代人は、とてもじゃないけど笑えないです。先日、飲食店に備えられている箸の束を、口にくわえた写真をSNSに投稿した人が逮捕されたなんてニュースを見ました。現代の感覚なら、当然の処分と思います。しかし落語には、お祭りで、壺にはいった水飴を、つばのついた棒で何度も嘗め回す子供の話があります。私は聴いていて、かなり嫌な気分になったのです。

落語の世界の、江戸や明治の人たちの犯罪や迷惑行為に関する感覚と、現代人のそれとは、やはり大きな違いがあるように思います。それなのに、刑法の基本的な内容は、明治の時代に出来たままのものです。現代人の感覚では、「こんなもの罪にする必要あるの?」ということや、「なんでこれが罪にならないのか!」というものまであります。時代に合わせた法律の改正は、難しい問題ですが、必要だと思うのです。

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◇ 弁護士より一言

隣の広い部屋が空いたので、オフィスを移転しました。なんだか「長屋の引越し」みたいです。。。
12月から弁護士が2名入ってきますので、大変な時期にもかかわらず、少し広いところに移りました。コロナの状況を見ながら、近いうちに事務所での少人数セミナーを開きたいと思っています。お知らせしますので、是非ともご参加いただければ嬉しいです。
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