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2015年11月16日発行第161号”ブラウン神父の弁護”

平成27年11月16日(月):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成27年11月16日発行第161号「ブラウン神父の弁護」をお届けします。

○今回のブラウン神父も、私には全く見ず知らずの方でしたが、ウィキペディアで勉強すると、G・K・チェスタトン著の推理小説「ブラウン神父」シリーズに登場する架空の人物で、イギリス、サセックス教区のカトリック司祭にして、アマチュア探偵とのことです。シャーロック・ホームズは、私でも知っており、映画も見ていますが、「ブラウン神父」シリーズは、TV映画にはなっているとのことです。

○今回の話しには、私にもグサリときました。私も,迅速事務処理を第一に掲げて、お客様のお言葉を直ぐに文章化して書面を作るスタイルでやっています。しかし、お客様の中には、じっくり話を聞いて、シッカリ構想を練って文章化して貰いたいと願っている方も居るはずです。

○要は、お客様が弁護士に何を求めているかについて、じっくり見定める必要があると言うことを,今回の大山先生の教えで、シッカリ自覚できました。大山先生、貴重なご提言有り難うございました。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

ブラウン神父の弁護


ブラウン神父といえば、今から100年ほど前、シャーロック・ホームズと同時代に活躍した名探偵です。いまだに日本でも人気があり、全作品が、文庫本で簡単に手に入ります。ブラウン神父は、「丸顔小柄の、ちょっと抜けているカトリックの神父」なんですが、すごい推理能力の持ち主です。

一般的に推理小説の場合、「犯人は誰か」「トリックは何か」が関心の的です。しかし、ブラウン神父の場合は、「動機は何か?」も大きな問題になるのです。

名将軍と言われた人が、無謀な戦闘をして、多くの部下を死なせた「事件」がありました。何故、名将軍がそんなことをしたのか、長い間謎とされていたわけです。この謎を解くために、ブラウン神父は、「木を隠すならどこに隠す?」と問題提起します。答えはもちろん「森の中」ですね。「それなら森がないときはどうすれば良い?」と、続けて質問が来ます。

恥ずかしながら、私は答えが分かりませんでした。ブラウン神父の答えは、「森を作ればいいんだよ!」この将軍は、憎い部下を殺した後、その遺体を戦場に捨てることができるように、わざと犠牲者が沢山出る作戦を取ったというのです。(ひ、酷い話ですが。。。)

その他にも、大金持ちが、自分のことを羨ましく思ってくれない友人を憎んだことが動機の犯罪とか、自分のことを超能力者だと思ってもらいたいための犯罪など、ぶっ飛んだ「動機」による犯罪が沢山あります。そんな中で、私の一番記憶に残っているのは、やり手の社会活動家が殺された事件です。

この人は、人を見る目がある上に、即断即決ができる傑物で、実業家としても大成功しています。実業にとどまらず、困った人の為の福祉活動にも力を注いでいる、立派な人です。彼を頼ってきた人に対して、間髪をいれずに、一番適した職業を紹介してきました。そんな人が殺されたわけです。一体、こんな立派な人を殺す動機はなんだろうかというのが、一番の謎だったのです。

この事件の犯人は、被害者に助けてもらい、職も世話してもらった人だったんですね。ほとんど話も聞いてもらえずに、一瞬で自分の全てを評価された。ほんのわずかの時間で、自分のすべてを見透かされたような対応をとられたことを、ずっと恨みに思っていたのが、殺人事件の「動機」だったのです。

実は私自身、会社勤めをしているときから、即断即決を大切にしてきました。「問題は間違えることではない。決められないことだ。」なんて、自分にも、自分の部下にも常々言い聞かせてきました。実際問題として、いわゆる「成功者」と言われる人で、即断即決できない人はほとんどいないと信じています。それだけに、それが理由で殺されたとなりますと、私としてもショックを受けてしまうのです!

しかしながら考えてみますと、こういうことは弁護士の仕事でもあります。優秀で良心的な弁護士ほど、できるだけ早く、「法的に正しい回答」を顧客に提供しています。その過程で、顧客の話を真剣に聞かずに、「正しい解答」をする弁護士もいそうです。そんな弁護士に不満を感じているお客様が相当数いそうです。さすがにそれが理由で弁護士が殺害されることはないでしょうが、お客様の不満に気が付かないで、信頼関係を失くすことはありそうです。最悪、お客様から、解任されることもあるかもしれません。

ブラウン神父に、突然の解任理由を推理してもらわなくてもいいように、お客様の気持ちを理解できる弁護士になりたいものです。

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◇ 弁護士より一言
20年前に結婚して以来、妻が何か相談してくると、私は即座に「正しい」回答を答えるよう努めてきました。頼りになる旦那さんになりたかったのです。
しかし妻からは、「私は、正しい答えなんか求めていないの!じっくりと話を聞いて、共感してほしいのよ。」と何度も言われてきたんです。ううう。。。
いいかげん、学ばないといけないですね。
以上:2,188文字

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