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2015年01月16日発行第141号”ギデオン弁護士のラッパ”

平成27年 1月16日(金):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成27年1月16日発行第141号「ギデオン弁護士のラッパ」をお届けします。

○いつものことですが、大山先生のニュースレターで、その博識・教養を少し分けて貰います。今回は、「ギデオン」です。いつものことながら、全くの初耳で、ネットで調べ、少し教養が身に付きました(^^;)。以下、「ギデオン」備忘録です。

01 ギデオン協会の「ギデオン」とは何ですか?
 「ギデオン」とは、旧約聖書・士師記6~8章に登場する人物で、神からの召命を受け、当時のイスラエル人を近隣の部族の襲撃から守るリーダーとなった人です。特にわずか300名で数万人のミデヤン人の軍勢を破った戦いは有名で、新約聖書・ヘブル人への手紙の中でも、信仰の勇者として紹介されています。初めてギデオン協会が米国で発足した1899年7月にクリスチャンで旅行をする実業家たちが互いに交流を持ち、個人的にキリストを人々に証し、相共に主イエス・キリストのために労しようとの決意が表明され、その時に会の名称が「ギデオン(The Gideons)」と定められました。


ギデオン対ウェインライト事件(1963年)
 1960年代に下された連邦最高裁判所によるこの2つの判決は、犯罪を犯したとして起訴された者の権利を支持したものである。
 クラレンス・アール・ギデオンは、1961年、フロリダ州のビリヤード場に強盗に入った罪で逮捕された。ギデオンが弁護のために国選弁護人を要求したのに対し、裁判官は、人を死亡させた事件あるいは死刑に相当する事件といった重大事件に限り、州法は国選弁護人の指名を義務付けているとして、ギデオンの嘆願を退けた。ギデオンは自ら弁護を行ったものの、有罪となった。刑務所にいる間、彼は図書館で長時間にわたって法律書を学び、連邦最高裁判所に対し、自らの案件の審理を求める手書きの嘆願書を作成した。最高裁判所は、ギデオンが公正な裁判を受ける権利を拒否されたとの判断を下した。最高裁判所は、犯罪で起訴された者が自ら弁護人を雇うことができない場合には、すべての州が弁護人を提供しなければならないと述べた。その後ギデオンは、弁護人の助けを得て再審理を受け、無罪となった。


○「About the USA」と言うサイトに更に以下の解説もありました。刑事事件は6年前引退宣言をしていますが、「ギデオン事件」すら知らないようでは引退して当然でした(^^;)。
ロバート・F・ケネディ司法長官 ― 「ギデオン事件」での判決理由(1963年)
 「クラレンス・アール・ギデオンという世間では知られることもないフロリダ州の受刑囚が、刑務所の独房で、仮に鉛筆と紙で連邦最高裁判所に熱心に手紙を書き始めなかったならば、そして連邦最高裁判所が、仮に、毎日受け取るすべての郵便物の束の中の、しかも1通の稚拙な請願書の中に、救済を受ける権利を見出す手間を惜しんだならば、米国の巨大な法制度は、それまで通りの機能を続けていたことだろう」
 しかし、ギデオンは実際にその手紙を書き、実際に連邦最高裁判所は彼の事件を調べた。彼は有能な弁護人の助けを得て再審理を受け、無罪判決を勝ち取った。ギデオンは、犯してもいない罪で2年間服役した後、釈放された。そしてそれ以来、米国の法律の歴史のすべての流れが変わった




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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

ギデオン弁護士のラッパ


ギデオンというのは、旧約聖書に出てくる英雄です。英雄だけど、本当に平凡な人間なんですね。この平凡なギデオンを神が選んで、虐げられていたイスラエルの民の為に、反撃のラッパを吹かせたという話です。ごく普通のつまらない人間が、神の力で偉大なことを成し遂げるという話です。

アメリカの法律を勉強した人にとっては有名な、「ギデオン対ウェンライト事件」というのがあります。50年以上前の、丁度私が生まれた頃の事件です。

ギデオン君は、何度も泥棒を繰り返す、チンピラでした。逮捕されたギデオンは、素直に罪を認めないで、かえってゴネたんですね。

「自分はお金がないが、だからと言って弁護士をつけられないのはおかしい。当然弁護士をつけるべきだ」と主張したんですね。常識的には、盗人猛々しい主張でしょう。しかし、この主張がもとになって、アメリカではお金が無い人でも、当然に弁護士に依頼することが権利として認められたわけです。

この事件について、「ギデオンのラッパ」なんて本まで出版されました。神が、チンピラのギデオンを選んで、ラッパを吹かせたことにより、貧しい人でも弁護士を選任できる権利が生じたということです。この「ギデオンのラッパ」は、アメリカの司法制度を考える場合に、とても大切だと思うのです。

日本では、アメリカの司法制度は、非常に人気がないですよね。弁護士でも、批判している人が沢山います。

たとえば、マクドナルドの火傷裁判なんて、悪名高いものがあります。注文したコーヒーで火傷したお婆さんが、「コーヒーが熱すぎたのが原因だ。」と主張してマックを訴えた事件です。米国の陪審裁判では、億単位の賠償が認められました。こんなのおかしいだろうというのが、弁護士を含む日本人の意見だと思います。正直、私もおかしいと思っちゃいます。しかし、こういう判決が出ると、熱いコーヒーやスープを提供するレストラン等が、非常に気をつけるようになることも間違いないと思うのです。

先日、小学校3年の息子がサービスエリアのセルフのレストランで炒飯についてたスープを自分の胸にこぼしてしまいました。妻がすぐに水をかけ、その後も氷や水でずいぶん冷やしましたが、思っていたよりずっと酷く、広範囲に火傷を負いました。半年以上たった今でも、まだ跡が消えません。私はレストランを訴えたりしませんが、「そこまで酷い火傷をするほど熱いスープにするなよ!」と、憤りを感じたのです。

日本でも、アメリカの様に、こういうレストランを訴えたらどうなるかということです。それによって、非常に高額な損害賠償が認められた場合です。ほとんどすべてのレストランで、火傷するほど熱いものは出さなくなるでしょう。もしそうなっていたら、うちの息子のような事故もなくなるはずです。

日本では、米国司法制度の評判は悪いのです。弁護士の中にも、日本がアメリカの様な司法制度になったら、この世は地獄になると言う人さえいます。確かに、米国の司法には大きな問題があると私も思います。

その一方、米国の司法は、欠陥人間の「ギデオン」にラッパを吹かせることで、社会を変えていくこともできるのです。日本では多くの人が、こういった米国司法の良い面を理解していないのは、とても残念です。

私のたわいないニュースレターが、「ギデオンのラッパ」となって、米国司法への行き過ぎた偏見を正すことが出来れば嬉しいな、と考えているのです。

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◇ 弁護士より一言

火傷した息子ですが、小学校の社会科の授業で、横浜で有名なところをあげるゲームをしたそうです。「こどもの国」「ズーラシア」「日産スタジアム」「赤レンガ倉庫」などの名前があがったそうです。

息子は、「ぼくは、『横浜パートナー法律事務所!』って言ったんだけど、先生もみんなも知らなかったよ。有名じゃないの?」ううう。。。

息子の為にも、みんなが知っている有名な事務所にしてやるぞと、決意を新たにしたのでした!
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