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2011/11/ 1 第64号 弁護士の父より息子への手紙

平成24年 2月29日(水):初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 30年近く前のベストセラーに、「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」という本がありますよね。カナダの実業家が息子に書いた手紙を、城山三郎が翻訳したもので、現在でも売れ続けています。

 実業家のお父さんが、息子が大学に入るときから、自分の後を継いで会社を経営するまでの間、折に触れて30通もの手紙を書いたわけです。

 名門大学に合格したが、気後れしている息子を励ます手紙に始まり、ちょっと過保護ではないかと思うくらい、手紙を使って息子にアドバイスしていくんです。

 部下と衝突したときどうするか、事業を拡大する上で注意することは何かなんていうものから、息子の金銭感覚はどうなっているのかというお叱りや、銀行融資を取り付ける方法というノウハウ、更には、結婚を気軽に考えないでなんて言うアドバイスまで、まさに痒い所に手が届くような忠告集です。

 「もし君の結婚の投資が非常に適切であれば、君は瞬く間に高みに引き上げられるだろう。」「そして最終的に身を固める前に、『より良い』投資物件を見落としていないことをよく確認するように。」なんて感じです。こんな舅の居るところに、うちの娘は嫁にやれん、という気になっちゃいます。

 更にこのお父さん、変に教養が有るんです。単に、「人間は信用が大切だよ。」と言えば済むところ、「アユブ・カーンも言っている。『信用は細い糸のようなもので、ひとたび切れると継ぐことは不可能に近い』」なんて言うんです。私が息子なら、「わざわざアユブ・カーンなんて出すなよ!」と、突っ込みを入れたくなっちゃいます。

 色々と、ひねくれたことを書きましたが、父親が自分の知恵や経験を息子に伝えるということは、本当に素晴らしいことです。とても羨ましいですね。

 そんなわけで、私も自分の息子に、これから生きていくうえで大切なことを、手紙にしたいと思ったのでした。将来、仮に息子がリストラにあったとします。そうしたら、こんな手紙を書きたいですね。「会社も、好き好んで君を辞めさせたわけではない。今の経済状況の下、やむを得なかったのだ。君が本当に会社にとって必要な人間なら、会社は君を手離さなかったはずだ。君が本当に有能なら、どこの会社でも採用してくれるだろう。君が、どの会社にも採用して貰えないような人間なら、今までそんな君に給料を支払っていた会社に、心から感謝しなさい。君が今やるべきことは、不当解雇で会社を訴えることではなく、自分自身の実力をつけることだ。裁判などしていては、一生自分自身の力を付けることはできなくなるぞ。」これは私の本心です。息子には、是非ともこう言いたいと思います。しかし、仮に法律相談で、リストラされた従業員から相談を受けたとしたら、弁護士として、これとは全く違うことを言うでしょう。

 「会社が整理解雇の4要件を満たしているか、大いに疑問が有ります。

 簡単に解雇は認められませんよ。労働者の権利として、争えます。」自分が息子に本当に伝えたいことと、弁護士として他人にアドバイスすることがこんなに違うとは、弁護士というのは因果な商売だなと思ったのでした。

 
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 弁護士より一言

 「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」を私が最初に読んだのは、大学生のころでしょうか。

 当時は、「くどいなあ。よくもまあこんなに細かいことまでしつこく書けるなあ。」なんて思いながら読んだものです。ところが、今回読み返してみると、それほどくどいとは思えなくなっていたのです。

 以前は、説教される息子の立場で読んだのに対し、今回は説教する父親の立場で読んだのが、大きな違いではないかと思います。

 もうあと10年もして、現在6歳の息子に対して、一言説教してやろうかと思いながら読んだなら、「まだまだ生ぬるい。もっともっと言わなくては!」なんて思うのかもしれませんね。

 引き続き、コメントを楽しみにしております。

 (2011年11月1日第64号)
以上:1,600文字

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