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平成24年 2月29日(水):初稿 |
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作 弁護士の世界では、「勝ちすぎは良くない」と言われています。裁判で完全に勝てるときでも、相手方にも少し譲ってあげて、和解で終わらせるのが良い弁護士なんだそうです。 こういう考え方に対しては、おかしいのではないかという意見を聞くことがあります。せっかく100%勝てるものを、弁護士が勝手に和解してしまったなどという苦情を、私も聞いたことがあります。狭い弁護士村の中で、お互いに貸し借りを作っているという批判です。弁護士同士で、八百長試合をしているということです。 確かにそういう面もあるかもしれませんが、私の感覚でも、いくら勝てるからといって、相手を徹底的にやっつけるというのはどうだろうという気がるすのです。 今回の題名は「メラニーの因果関係」ですが、メラニーというのは、「風と共に去りにぬ」の登場人物ですね。主人公であるスカーレットの友達です。大衆娯楽小説の最高峰の説明を、いまさらするのも気がひけますが、スカーレットが思いを寄せているアシュレーと結婚したのが、メラニーですね。スカーレットは、当てつけのようにメラニーの兄と結婚する。そうしているうちに、南北戦争が勃発し、波乱万丈の物語が始まるわけです。 スカーレットは、恋敵のメラニーのことを、大人しくて、ガチョウを追い払うこともできないなんて言って、馬鹿にしています。確かにメラニーは、普段は気が弱くて、ろくに口もきけないのですが、その一方では非常に強い個性を持っているんですね。 南部が北部に負けたあと、北部の戦死者を埋めた墓地の草取りをどうするかで、メラニーたちの町で大喧嘩が起こります。北部の奴らのためには、草むしりなど絶対にしないという意見と、北部兵墓地の草をむしらないと、隣の南部兵の墓地にまで雑草が広がるから、やはりむしるべきだという意見が対立したわけです。 そのとき、メラニーは勇気を振り絞って言うんですね。自分は草むしりだけではなく、北部の兵士のためにお墓にお花も供えたいと。自分の兄(スカーレットの夫ですね)は、北部で戦死して、遺体どこにあるのかも分からない。でも、北部の親切な人が、墓地に葬ってくれて、花を供えてくれていると考えると、本当に嬉しい。自分が北部兵墓地の草を刈ることが、北部の人達も同じことをしてくれることの証しになるのだという意見でした。 メラニーの意見は、一般的に言われている因果関係では説明できないものです。南部で草むしりをしようがしまいが、北部でどうするのかということには、何の関係もありません。 しかし私は、世の中にはこういう「因果関係」もあると思うのです。 多くの弁護士も同じように感じているからこそ、完全に勝てるようなときでも、相手が頭を下げてきたら、少し譲ってあげて、和解で終わらせるのが良い解決方法だということになっているのだと思います。 まさに、「情けは人のためならず」であり、こうしたやり方は、常識的な因果律を超えて、回り回ってお客様のためにもなるのだと信じています。 ******************************************* ◇弁護士より一言 結婚式のときの写真を見た5歳の息子が言いました。「ママはむかし、このパパと結婚していたの?」自分でも、自覚はあります。結婚したころに比べ、随分太りましたし、髪も真っ白になってきました。だからって、息子にこんな風に言われるなんて。 先日、夏休みということで、妻が息子を連れて事務所に来たんですね。 それを見たお客様から言われました。「お孫さん可愛いですね!」後ほどそのお客様から、お詫びのメールを頂きました。 「先生の娘さんが、お孫さんを連れてきたと思ったものですから、どうも済みませんでした。」って、フォローになってないよ!もっとも、妻はとても喜んでいました。ううう。このままではいけない。そこで今月、断食合宿に参加して参ります。成果のほどは、次回、ご報告しましょう。励ましのコメントを、よろしくお願い致します。 (2011年9月16日第61号) 以上:1,604文字
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