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平成24年 2月29日(水):初稿 |
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作 英文学者の中野好夫先生が書いた、シェイクスピアについての本を読みました。中野先生によりますと、劇に出てくる人物が、どのような人なのか読者に分かってもらう方法は、3つあるんだそうです。 まず、一番下手なやり方は、登場人物自身の口で、自分はこれこれこういう人ですと言わせる方法なんですね。 中野先生は、こういうやり方は、劇の作り方としては最低だと手厳しい。しかし、偉大なシェイクスピアでも、初期の作品ではこういうやり方をしてるんだそうです。 2番目のやり方は、他の登場人物の口を通して、当該登場人物がどういう人か語ってもらうという方法ですね。一般的に言いまして、みんな他人のことは厳しく見てますから、他人について語る言葉は信頼性が高いわけです。この方法は、自分自身の口で自分のことを語る方法に比べて、相当洗練されていますね。 しかし、演劇の手法として一番望ましいのは、3番目のやり方だそうです。つまり、その人自身の、ふとした言葉や行動から、その人物が本当はどういう人か明らかにするという、やり方ですね。 一見すると邪険に見える行動の中に、その人の優しさを感じさせる。 「心から心配しております。」という台詞によって逆に、その人物が本当は心の冷たい人物であることを分からせるという、高度な技術です。言わずと知れた大シェイクスピアですから、こういうやり方も、もちろん見事なんです。 さて、ここから本題ですが、自分がどういう人物かを示すやり方というのは、何も演劇の世界だけの話ではないなと気が付いたわけです。 日常生活でも大事なのはもちろんですが、弁護士として自分を売り込む場合にも参考になるのではということです。 まずは、自分で自分のことを、「信頼できる、とっても良い弁護士です」と、アピールする方法があります。私自身、ホームページで、「信頼できる弁護士にお任せください!」なんて書いてます。ただ、中野先生の指摘を待つまでもなく、これはあんまり説得力がなさそうです。 (もっとも、世の中は広いのです。以前、「そちらは信頼できそうだから来た。」というお客様がいました。何故そう思ったのか聞いたところ、「ホームページに、『信頼できる弁護士』と書いてあったから!」とのこと。ホ、ホントですか!!)私の場合、多くの依頼者に「お客様の声」を書いていただき、それをホームページなどに載せています。考えてみますとこれはまさに、他人の口を借りて、自分のことを誉めて貰うという、中野先生の指摘する2番目のやり方なのだと気付きました。「他の人が誉めているから、きっと良い弁護士に違いないと思いお願いした」なんて、何度も言われました。推薦文を書いていただいたお客様には、本当に感謝しております。 しかし、中野先生によりますと、これも最善の方法ではないんですね。 ちょっとした言葉や行動を通して、私がどれほど良い弁護士か!を示すことが出来て、初めて合格点が頂けるようです。 しかし、そうは言いましても演劇と違い、ことさらに効果を狙って行動するわけにはいきませんね。私の何気ない言動からも信頼感を持っていただけるように、引き続き修行していきたいなと思ったのでした。 ******************************************* ◇弁護士より一言 うちには5歳の息子がいるのですが、丁度からかい甲斐のある年齢なんですね。私も相手にしてもらえるのが嬉しくて、どうしてもからかってしまいます。 「パパは今日、事務所でチョコレートパフェ食べちゃったよー」などと言うと、すぐに「ずるーい」と、喰いついてくれるんです。 あんまりうるさくなると妻が、「パパ、そんなにからかわないでよ。」なんて言うのを聞いていたのでしょう、息子も段々と知恵が付いてきたようです。先日、息子が嬉しげに話しかけてきました。「パパ、いっちょう、からかってやろうか!今日、ママとアイス食べたんだ―いいでしょう。パパは食べてないー!!」なっ、なんなんだ!やっぱり教育に悪いので、パパもからかうのはやめることにしようと思ったのでした。 (2010年12月1日第42号) 以上:1,645文字
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