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平成24年 2月29日(水):初稿 |
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作 チケット販売会社から、自分のチームのチケットを買ったお客様の情報を貰うことは、今の日本では許されるだろうかということで、前回は終わりました。わざわざもったいぶって質問するほどのことはなくて、これは許されないということですね。 現在日本では、個人情報保護法だなんて法律が出来ていて、お客様から個人情報を貰う場合には、予め使用方法や開示先などについても同意をとっておく必要があります。同意が無い以上、勝手に情報を渡したら、違法になります。 確かに、個人情報の悪用ということがありますから、何らかの規制が必要なのは理解できます。しかし、個人情報の利用について、このような強い規制をすることは、果たしてどうなのだろうかという疑問は、持っています。 私など、客の立場としては、たとえ商売でも、「これを買うのを忘れていませんか。」と聞いてもらえると、とても親切だなという気がするんですね。現在の不況下の日本で、適切な顧客名簿に対して、適切な商品をダイレクトメールなどで売り込むことによって、大きく消費を刺激できると思われます。今の法律はそのための手段を奪ってしまったのではないかという気がするのです。 顧客名簿が漏れた場合、大きなニュースになりますが、それによって実際に生じた損害というのは、本当にしょぼいなあというのが実感です。漏洩事件のニュースで、アナウンサーが深刻な顔をして、「漏洩した個人情報のせいで、夜中に商品勧誘の電話がかかってきて眠れなかったという深刻な被害が生じています。」なんて話すのを聞くと、その程度のことを大層に言わなくても、と思ってしまうのですね。 星新一のショートショートにこんな話しがありました。(記憶で書いているので、少し違うかもしれませんが。)未来の世界で、スクラップとして捨てられた、ロボット達の話しです。 これらのロボットは、人間の召使として働いて、ご主人である人間の「個人情報」を知っているため、他の人間に情報が漏れることを恐れて処分されたわけです。ロボット同士で、かつての主人について話しをします。すると、どの人間も、ある程度ずるくて、ある程度優しくて、みんな同じような人たちだと分かります。 「どの人も似たような人たちなのに、何だって人間は、自分のことを人に知られたくないんだろう。」とロボット達が語り合う内容だったと記憶しています。 星新一大先生の尻馬に乗るようですが、どうも私は、「個人情報」なるものは、本当にそんなに大変なものなんだろうか、という疑問を抑えがたいわけです。 と、こんなことを書いていますと、私がアドバイスをした企業の方から、いつもと言うことが違うじゃないかとお叱りがきそうです。私は個人情報について、厳しく管理した方が良いと、いつもアドバイスしているんですね。個人情報の規制がやりすぎだと思っても、法律がある以上、リスク管理という面からは、当然のことだと考えています。 個人的見解は個人的見解として、これからも個人情報保護に関して、厳しく指摘したいと思っています。(私みたいな人間が、戦争中陰では「戦争反対」とか言いながら、大政翼賛活動など熱心に行っていたんでしょうか・・・) ******************************************* ◇弁護士より一言 夏になると、海で迷子になった子供の頃を思い出します。もう、40年以上も前の話ですが、一人ぼっちで海辺をさまよった心細さを、よく覚えています。 うちの娘達には、「5歳の頃海に行ったら、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが迷子になったので、探してあげたんだ。」なんて適当な話しをしてきました。 少し前までは、「パパって凄い。」と感心してくれていたのですが、先日娘達が私の実家に遊びに行って、帰ってくると、「迷子になったのは、パパの方じゃない。嘘ばっかりついて。」と、ウソツキ呼ばわりされてしまいました。 少し前までは、迷子になったときの自分の不安にしか思いが至りませんでした。人の親になった今にして、私よりも、両親の方がどれほど心配し、不安な思いをしていたのかよく分かるようになりました。 引き続き励ましのコメントを、お待ちしております。 (2009年8月16日第11号) 以上:1,686文字
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