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2009/ 3/1 創刊号 企業法務部と弁護士

平成24年 2月29日(水):初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 私は弁護士になる前に、企業(メーカーの法務部門)での生活が長く、その間多くの弁護士と共に仕事をしてきました。そのときの感想を正直に言いますと、弁護士というのはかなり非常識な人たちだな、というものです。朝10時に電話しても、いつも事務所には来ていない。連絡しても、なかなか返答がない。納期を守らなくてもヘイチャラである、などなど不満は色々有りました。

 少し前に、ネットに、ある社長さんの次のような意見が出ていました。

 私は弁護士さんには3度程(合計5人に)お世話になりました。私の運が悪いのか、申し訳ないですが、ろくな弁護士さんに会ったことがありません。もちろん私なんかよりも、ずっと頭はいいんでしょうが、なんかちょっと違う世界の人のような、悪く言えば世間知らずな印象を受けます。常識を共有できてない感じと言うほうが正確かも知れません。「え?そんなことも説明しなければならないの?普通の会社員なら誰でも知ってるよ。」と思うことがしばしばあり、歯がゆい思いを何度かしております。

 「そりゃ、あんたのことだよ」と、顧問先の皆様から言われそうで心配ですが、自分のことを棚にあげて言いますと、弁護士には企業と「常識を共有」できていない人が多いような気がします。

 私自身企業の法務担当者だったときには、そういった「非常識」な弁護士に仕事を依頼することに抵抗がありましたね。実際問題として、各企業の実務に密接に係わる法律問題については、企業の担当者の方が弁護士よりはるかに詳しいわけです。弁護士に質問するといいましても、特別法の存在、問題の所在などを教えてあげたうえ、回答案まで作成してから意見を聞くということもよくあります。ところが、会社のトップに上げるときには、「弁護士には確認したのか」と聞かれるものですから、「聞いたって時間の無駄ですよ。自分の方がよっぽど詳しいですから」とよほど言いたくなることもありました。

 さらに多くの弁護士の場合、企業の実務を知らないままに、どうにもピントはずれの意見を出してくるということもあります。「時間がかかってかなわないから、頼むからおかしなことを言ってこないでくれ」と祈る気持ちの法務担当者も沢山いるはずです。

 こういうことをあんまり書きますと、「そうか、顧問弁護士などいない方がよいのだな」と思われそうで困ります。そこで、弁護士の立場から企業での法務担当者を見た場合についても書いておきますと、おおよそ次の点が気になりますね。

 まず、弁護士なら絶対に知っている、瑕疵担保責任と債務不履行責任のような、基本的な事項を正しく理解していない場合が有ること。

 企業の「常識」に埋もれてしまうので、間違ったことが行われていても、問題意識を持ちづらいこと。

 弁護士として、その企業の「常識」に染まらない外部の目で、しっかりと問題点をチェックする。これは、一つ間違えれば「非常識」と言われることになりますが、弁護士として非常に重要なことだと思っています。顧問先企業の皆様も、それを期待して、決して安くない顧問料を支払っているのだと理解している次第です。

 
以上:1,275文字

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