| 令和 7年11月29日(土):初稿 |
|
○「オンライン調停サービス「OneNegotiation(ワンネゴ)」紹介」の続きで、具体的事件で費用がどのくらいかかるのかHP「OneNegotiation(ワンネゴ)」の記述から探ってみました。 ○具体的な事案としてアパート賃借人Aさんが賃貸人Bさんから月額賃料7万円で借り受け、敷金2か月分14万円を支払っていたところ、期間満了で退去・明渡をして、敷金の返還を求めたところ、Bさんはクリーニング代として14万円以上かかるとの理由で返還を拒否され、その返還を求めると場合とします。弁護士に相談したらそのような低額の案件は、裁判所の少額訴訟制度を利用して自分で訴えを出すことを勧められました。しかし、裁判所利用は敷居が高くもっと簡単な方法として、オンライン調停サービス「OneNegotiation(ワンネゴ)」の利用を考えました。 ○HP「OneNegotiation(ワンネゴ)」で最も気にかかるのは利用料金です。「OneNegotiation(ワンネゴ)」料金プランによるとトライアルプランを利用した場合、基本料金・申立通知手数料・「システム調停 (※2) 」申立手数料は無料となっています。「※2 システム調停とは、債権者と債務者が、チャットのような画面で選択肢をタップして交渉する方法です。」と説明されており、申立人AさんとBさんが直接チャット画面で遣り取りをする仕組みです。しかし、Bさんは、たとえ申立に応諾したとしても、従前の主張を繰り返し、支払に応じることはないはずです。 ○そうなると「債権者と債務者の双方が必要と判断した場合、Web会議にて調停人を介して交渉する方法です。」と説明されているオンライン弁護士調停になります。債務者Bさんがオンライン弁護士調停に応諾すれば、Aさんは申立手数料として2万7500円を支払い、弁護士による調停を受けることができます。このオンライン弁護士調停は、 ・「システム調停」では折り合わず、債権者と債務者が希望する場合には、債権者と債務者の間に「弁護士資格を持つ調停人」を介する形で、Web会議形式(Zoom)でやりとりする「オンライン弁護士調停」に移行できます。と説明されています。 ○AさんとBさんは、オンラインですから、パソコン或いはスマホ画面で、調停員弁護士に双方の主張を述べ、調停員弁護士が、調停案としてBさんがAさんに10万円支払うとの調停案が出されて、双方に合意が出来て、AさんがBさんから10万円を受領したとします。この場合、合意成功報酬として34.848%の成功報酬が発生しますので、Aさんには10万円×0.34848=3万4848円の支払義務が発生します。Aさんは、10万円を回収するためにオンライン弁護士調停申立費用2万7500円と合意成功報酬3万4848円の合計6万2348円の費用を負担し、手取りは3万7652円となります。 ○Aさんが裁判所の少額訴訟制度を利用して訴えを提起し、裁判所に出頭して全て自分で行い、裁判官による和解が成立して10万円全額を回収する場合は、Aさんにとっては相当な手間暇がかかります。「OneNegotiation(ワンネゴ)」を利用して余り手間暇をかけず少しでも回収できる方がよいかどうかは、Aさんの判断になります。なお、日本の裁判所では、少額訴訟の手続き全体をオンラインで完結できるシステムは、現状、提供されていないとのことです。 以上:1,516文字
|
