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刑法改正-強制性交罪から不同意性交罪へ覚書

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令和 5年 9月14日(木):初稿
○平成20年に刑事事件からの引退を宣言し、その後は刑事事件を業務として扱わなくなりましたが、「刑法改正-強姦罪から強制性交罪へ覚書」で、平成29年7月の刑法改正についての備忘録を記載していました。ここ数ヶ月、ジャニーズ創設者のジャニー喜多川氏の所属タレント少年に対する性加害行為の話題が連日報道されて、同氏の少年タレントへの性加害行為の刑法上罪名を確認したく強制わいせつ罪の条文を久しぶりに見てみました。

○すると平成29年改正「刑法改正-強姦罪から強制性交罪へ覚書」は令和5年7月には、表記「強制性交罪から不同意性交罪」に改正されていたことを思い出しました。改正当時は盛んにニュース報道されていましたが、刑事事件を扱っていなかったこともあり、余り意識していませんでした。しかし、法律専門家としてその内容は思えておく必要があり、以下、改正条文の備忘録です。

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旧々第22章 わいせつ、姦淫及び重婚の罪
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旧第22章 わいせつ、強制性交等及び重婚の罪
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最新第22章 わいせつ、不同意性交等及び重婚の罪

         

旧々刑法第176条(強制わいせつ)
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上7年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
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旧刑法第176条(強制わいせつ)
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
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最新刑法第176条(不同意わいせつ)
 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。

※判例での「わいせつ」の定義は、「いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」、具体的には、無理矢理キスをしたり、身体を触ったり、服を脱がせたりする行為

旧々刑法第177条 (強姦)
暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、2年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
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旧刑法第177条(強制性交等)
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
  ↓
最新刑法第177条(不同意性交等)
 前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。

旧第178条(準強制わいせつ及び準準強制性交等)-削除
2 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
※最新第177条に吸収されてこの条文は削除です。

第179条(監護者わいせつ及び監護者性交等)-ほぼ変わらず
 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条第1項の例による。
2 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条第1項の例による。


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