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従業員への損害賠償請求提訴を不法行為とした広島高裁判決全文紹介1

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平成26年 6月 6日(金):初稿
○会社の従業員に対する預金横領に係る不法行為に基づく約4200万円の損害賠償の訴えの提起が不法行為に当たるとされ、逆に訴えを提起した会社側に250万円(請求額830万円)の損害賠償義務が認められた平成25年12月24日広島高裁判決(判時2214号52頁)全文を2回に分けて紹介します。
この事件についての私なりの感想は別コンテンツで行います。


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主   文
一 一審原告の一審被告らに対する控訴をいずれも棄却する。
二 一審被告丁原の控訴に基づき、原判決中の一審被告丁原の敗訴部分を次のとおり変更する。
(1) 一審原告は、一審被告丁原に対し、250万円及びこれに対する平成23年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 一審被告丁原のその余の請求を棄却する
三 甲事件及び乙事件に関する訴訟費用は、第1、2審を通じて、一審原告の負担とし、丙事件に関する訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを3分し、その2を一審被告丁原の負担とし、その余は一審原告の負担とする。
四 この判決は、第二項の(1)について、仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 控訴の趣旨
一 一審原告の控訴

(1) 原判決中、一審原告の敗訴部分を取り消す。
(2) 一審被告丙川は、一審原告に対し、4201万9749円及びこれに対する平成23年7月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 一審被告丁原は、一審原告に対し、4201万9749円及びこれに対する平成23年9月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

二 一審被告丁原の控訴
(1) 原判決中、一審被告丁原の敗訴部分を取り消す。
(2) 一審原告は、一審被告丁原に対し、830万円及びこれに対する平成23年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要等
一 事案の概要

(1) 本件は、(ア) 京都市に本社を置く一審原告が、
① 一審原告の従業員として広島県福山市所在の事業所(以下「福山事業所」という。)で事務を担当していた一審被告丙川が一審原告の預金を無断で引き出して横領した(以下「本件横領」という。)として、一審被告丙川に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害賠償金4201万9749円及びこれに対する不法行為の後であり一審被告丙川に対する訴状送達の日の翌日である平成23年7月2日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた甲事件、
② 京都本社の経理事務担当職員であった一審被告丁原が、一審被告丙川と共謀して本件横領を行ったとして、一審被告丁原に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害賠償金4201万9749円及びこれに対する不法行為の後であり一審被告丁原に対する訴状送達の日の翌日である平成23年9月9日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた乙事件と、
(イ) 一審被告丁原が、乙事件は一審原告が何ら根拠のないことを知りながら提起した不当訴訟であるとして、一審原告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害賠償金830万円(慰謝料200万円、弁護士費用630万円)及びこれに対する乙事件が提起された日である平成23年9月1日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた反訴である丙事件の併合事案である。

(2) 原審は、一審原告の一審被告らに対する各請求及び一審被告丁原の反訴請求をいずれも棄却した。

(3) 一審原告は、その敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。

(4) 一審被告丁原は、その敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。

二 前提事実
 原判決「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」の「二 前提事実」に記載のとおり(ただし、原判決三頁22行目〈編注・本号後掲55頁四段27行目〉の「もみじ銀行原告口座」を「もみじ銀行(旧商号 広島総合銀行)手城出張所の一審原告名義の預金口座(以下「もみじ銀行原告口座」という。)」と改める。)であるから、これを引用する。

三 争点
(1) 甲事件及び乙事件-一審被告丙川による本件横領の有無。本件横領に対する一審被告丁原の共謀の有無。
(2) 丙事件-乙事件の提起は不法行為に当たるか。不法行為に当たる場合の損害額。

四 争点に対する当事者の主張
 次のとおり改めるほか、原判決「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」の「四 争点に対する当事者の主張」に記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 原判決四頁二行目〈同56頁一段3~4行目〉を次のとおり改める。
 「(1) 争点(1)(一審被告丙川による本件横領の有無。本件横領に対する一審被告丁原の共謀の有無(甲事件及び乙事件。)」

(2) 原判決四頁四行目の「被告らは、共謀して」から同五行目の「12月15日」まで〈同56頁一段6~8行目〉を「一審被告丙川は、一審被告丁原と共謀して又は単独で、原判決別紙預金払出一覧表に記載のとおり、平成16年4月2日から平成20年7月4日」と改める。

(3) 原判決15頁10行目〈同59頁三段16行目〉の「被告丁原と共謀して」を削除する。



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