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マンション一括検針一括徴収制度に関する規約の効力肯定判例全文紹介2

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平成25年 8月30日(金):初稿
○「マンション一括検針一括徴収制度に関する規約の効力肯定判例全文紹介1」の続きです。


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3 法は,区分所有者,管理者又は管理組合法人は,規約に基づき他の区分所有者に対して有する債権について,債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる旨定めているが(法8条,7条1項),ここにいう債権の範囲は,いわゆる相対的規約事項と解されるものの,法3条1項前段が「区分所有者は,全員で,建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し,この法律の定めるところにより,集会を開き,規約を定め,及び管理者を置くことができる。」と定め,かつ法30条1項が「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は,この法律に定めるもののほか,規約で定めることができる。」と規律している趣旨・目的に照らすと,建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は,規約で定めることができるものの,それ以外の事項を規約で定めるについては団体の法理による制約を受け,どのような事項についても自由に定めることが許されるものではないと解される。

 そして,各専有部分の水道料金や電気料金は,専ら専有部分において消費した水道や電気の料金であり,共用部分の管理とは直接関係がなく,区分所有者全体に影響を及ぼすものともいえない事柄であるから,特段の事情のない限り,規約で定めうる債権の範囲に含まれないと解すべきである

 しかるところ,前記事実関係によれば,
①本件マンションは,各専有部分は,すべてその用途が事務所又は店舗とされているところ,
②本件マンションでは,被上告人が,市水道局から水道水を一括して供給を受け,親メーターで計測された水道使用量を基に算出された全戸分の使用料金を一括して立替払した上,各専有部分に設置した子メーターにより計測された使用量を基にして算出した各専有部分の使用料金を各区分所有者に請求していることとしているが,これは本件水道局取扱いの下では,本件マンションの各専有部分について各戸計量・各戸収納制度を実施することができないことに原因し,
③被上告人が,関西電力から電力を一括して供給を受け,親メーターで計測された電気使用量を基に算出された全戸分の使用料金を一括して立替払した上,各専有部分の面積及び同部分に設置した子メーターにより計測された使用量を基にして算出した各専有部分の使用料金を各区分所有者に請求しているが,これは本件マンションの動力の想定負荷が低圧供給の上限を超えており,また,本件マンションには純住宅が2軒以上なく電気室供給もできないため,関西電力と本件マンションの各専有部分との間で,電気供給につき戸別契約(低圧契約)を締結することができないことに原因するというのであるから,
本件マンションにおける水道料金等に係る立替払とそれから生じた債権の請求は,各専有部分に設置された設備を維持,使用するためのライフラインの確保のため必要不可欠の行為であり,当該措置は建物の管理又は使用に関する事項として区分所有者全体に影響を及ぼすということができる。

 そうであれば,被上告人の本件マンションの各区分所有者に対する各専有部分に係る水道料金等の支払請求権については,前記特段の事情があるというべきであって,規約事項とすることに妨げはなく,本件規約62条1項に基づく債権であると解することが相当である。
 原審の判断は,これと同旨をいうものとして是認することができる。論旨は採用することができない。

4 なお,上告人は,憲法29条違反を主張するが,建物の区分所有等に関する法律の前記各規定が,違憲でないことは,最高裁平成12年(オ)第1965号,同年(受)第1703号同14年2月13日大法廷判決・民集56巻2号331頁に徴して明らかである。論旨は採用することができない。

第2 結論
 よって,本件上告は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 森宏司 裁判官 小池一利 裁判官 山本善彦)

以上:1,734文字

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