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境界確定の訴えにおける公法上の境界とは1

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平成25年 8月17日(土):初稿
○境界確定の訴えは、私法上の所有権の範囲の確認を求めるものではなく、公法上の境界の確定を求めるものであると一般に解されています。この「公法上の境界」とは何を指すかが、良く問題になります。
以下、境界確定訴訟についての備忘録です。

境界確定訴訟については「実務の友」と言うサイトの「境界確定訴訟概説」が参考になります。ここでは、
1 境界確定訴訟とは  
「相隣接する土地の境界線について争いのある場合に,訴訟手続により,これを創設的に確定する訴えである。」(通説,判例) 。土地の境界とは,1筆の土地と土地との境であり,公法上の境界であり,「筆界」(ひっかい)とも言われる。

と解説されています。

「土地の境界とは,1筆の土地と土地との境であり,公法上の境界」とされていますが、この「公法上の境界」についての定義は、山形弁護士会の武田法律事務所HP「第一 境界確定訴訟」の以下の記述が参考になります。
第1 公法上の境界(筆界)と私法上の境界(所有権界)の違い
1.公法上の境界(筆界)
(1)公法上の境界(筆界)の定義
 1)表題登記がある一筆の土地とこれに隣接する他の土地との間
 2)当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた
 3)2以上の点及びこれらを結ぶ直線
(2)公法上の境界(筆界)の変更
 公法上の境界(筆界)は,客観的に固有するものであり,各筆の登記簿上の所有名義人の意思のみによって筆界を処分したり変更したりすることはできない(最高裁昭和31年12月18日判決)。
 公法上の境界(筆界)を変更するためには,登記官が分筆,合筆(不動産登記法39条)という形成的行政処分を行わなければならない。


不動産登記法
(分筆又は合筆の登記)第39条
 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
2 登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第41条第2号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
3 登記官は、第1項の申請がない場合であっても、第14条第1項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第1項に規定する表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。

(地図等)第14条
 登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。
2 前項の地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。
3 第1項の建物所在図は、1個又は2個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示するものとする。
4 第1項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる。
5 前項の地図に準ずる図面は、一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとする。
6 第1項の地図及び建物所在図並びに第4項の地図に準ずる図面は、電磁的記録に記録することができる。


これらの規定によると、司法上所有権者でない者が所有者として分筆・合筆登記申請をして登記官が分筆・合筆と言う形成的行政処分をしてしまうと、その申請時に作成された図面に記載された境界線が公法上の境界になる場合もあります。

公法上の境界の考え方は、「公法上の境界と私法上の境界 」の「各土地の所有者が誰であるかということは関係ありません。 従って、この意味での境界は、国のみが定められるものであって、性質上、最初から客観的に定まっており、 関係当事者の合意によって決まるものではないのです。そもそも地番がふられたのが税金徴収の手段ですから、課税特権者のあずかり知らぬ所でその範囲が移動することを国が許すわけがありません。」との記述が参考になります。

以上:1,636文字

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