平成24年 4月12日(木):初稿 |
○弁護士生活32年目にして初めて、ちりも積もればなんとやらの相当多額の未払賃金に関する熾烈な争いの事件を使用者側として担当しています。労働者約20名の数年分(消滅時効期間を超える)の未払賃金総額は、使用者にしてみれば目も眩むような多額になります。就業規則、賃金規定・細則の解釈が熾烈な争いになっており、これらの規定は明確に定めておかないと大変なことになることも痛感しました。その解釈の参考にするため、労働者の賃金について労働法に規定のない賃金用語の理解も必要になり、以下、備忘録です。 ・(完全)月給制 完全に時間外労働手当等の変動賃金以外の月額賃金が固定され、欠勤してもノーワークノーペイの原則を適用せず、賃金は控除されない。 ※実際こんな会社はまず存在しない。年俸制をなんらかの理由によって採用しない会社で制度化することがある。 ※「ノーワークノーペイの原則」 労働契約を締結した場合、労働者は使用者に使用されて労働する義務、使用者はその労働に対して賃金を支払う義務が発生し、逆に言えば、使用者は労働者に対して労務の提供を請求する権利があり、労働者はその労働に対する賃金を請求できる権利がある。したがって、原則、労働者が労働していない場合には、賃金の請求権は発生しない。 ・月給(日給)制 時間外労働手当等の変動賃金以外の月額賃金は固定され、月による変動はないが、欠勤や遅刻・早退すると、ノーワーク・ノーペイの原則により、月額賃金から控除される。手当等は固定化されているケースが多いが、欠勤控除の単価計算にこれらの固定手当も含まれていることが多いため(大抵の会社がうたう月給制) ・日給月給制 日給の積み重ねが月の給料日にまとめて支払われる。労働日数の少ない月は年平均より賃金が減少し、労働日数の多い月は年平均より賃金が増加する。欠勤控除はないが、欠勤すると結局労働日数が減少する。 ・日給制 俗に言う日雇いで、労働時間に関係なく一日の賃金が決まっており、支払いがその日払いになるのが原則。 ・日給(時給)制 日雇いではあるが、労働時間が規定に満たないと、満たない分、ノーワークノーペイで時間分の給与は控除される ・時給(月給)制 日給月給制の日給が時給に単語を置き換えたもの。給料日が月一回の場合、労働時間×時給単価で計算される ・年俸制 年の支給総額を決めておき、月に分割して支払う制度。分割を12以上にして、賞与の様に支払うこともある ○ 以上:1,011文字
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