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マンション管理費回収方法整理-競売の訴え2

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平成21年 7月12日(日):初稿
「マンション管理費回収方法整理-競売の訴え1」の続きです。
未納管理費合計400万円を支払えとの判決を取っても、その債務者に強制執行できる財産が無く、そのマンション区画は、時価1500万円程度のところ2000万円以上の住宅ローンが一番抵当で付いて居る場合、剰余を生ずる見込みがないとして競売手続が取消になることが明らかな場合、管理組合としては、打つ手がないのでは、大変困ったことになります。マンションの管理は区分所有者が納める管理費で賄っており、これが多額に上ると管理にも支障を来すことになるからです。

○そこで何か打つ手がないかと言うと、このような多額の管理費未納がマンション法第6条(区分所有者の権利義務等)の「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」の「共同の利益に反する行為」が問題になります。

○この点については、管理費の支払は、区分所有者の最も重要な義務であるところ、先取特権があるとしても実務的には殆ど効果が期待できないことから、相当の管理費未納は「共同の利益に反する行為」として義務違反行為に該当するとされています(大阪地裁平成13年9月5日判時1785号59頁、大阪高裁平成14年5月16日判タ1109号253頁)。

○管理費未納がマンション法第6条の義務違反行為に該当すると、同法57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)「区分所有者が第6条第1項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。」が適用になります。

○この57条が適用になると、最終的には同法59条(区分所有権の競売の請求)「第57条第1項に規定する場合において、第6条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。」との規定により、多額の管理費未納者のマンション区画を競売請求することが出来ます。勿論、この競売は、剰余見込みなしとしての競売手続停止の規定が適用になりません。

○この競売請求は、区分所有者のマンション区画所有権を強制的に奪ってしまう大変強力な効力を持ちますので、マンション共同生活の円満な維持・継続を計る最終手段であり、いわば「伝家の宝刀」として、簡単には抜けない、即ちその行使の要件は大変厳しく、実体的には以下の要件が必要です。
①マンション法第6条1項の義務違反行為の存在
②この義務違反行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しいこと
③他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であること

○更に手続的には以下の要件が必要です。
①集会の決議による訴え提起をすること
②この集会の決議は、区分所有者および議決権のおのおの4分の3以上の多数による賛成があること
③管理組合が競売することが出来る旨を宣言する判決を得、その確定後6ヶ月以内に競売申立をすること

以上:1,435文字

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