平成21年 2月23日(月):初稿 |
○「事務員がヤクザに監禁された事件7」の続きです。 K弁護士は、水揚げ金3000万円の内から乗組員給料500万円、B社事業継続のため600万円(内300万円はヤクザ支払金)合わせた合計1100万円を差し引いた1900万円の半分の950万円をF社に支払うとの和解案をF社代理人G弁護士に提案しましたが、F社社長からはなかなか同意が得られませんでした。 ○そこでK弁護士は、再度、和解協議を休憩として別室に移り、ボス弁と電話連絡を取りながら、対応を協議しました。同席のA社専務は、B社社長に対し、「お前の裏切り行為でこんな状態になったのだから、お前に取り分なんかない」と責めますが、B社社長は、「最低300万円ないと会社はつぶれる」と泣きつきます。その遣り取りを聞いたK弁護士は、B社社長にそれでは破産の腹を決めて欲しいと伝えました。破産になれば、A社、F社のこれまでの苦労は水泡に帰しますので、F社社長への一番のプレッシャーになるからです。 ○K弁護士は、破産の覚悟を決めたB社社長を同行して再度F社代理人G弁護士と協議に入り、同席のF社社長にどうしてもF社が1250万円でなければ和解しないというのであれば、B社が自己破産申立をする、そうなるとB社とF社の第二B丸の代物弁済による譲渡契約も否認される可能性があり、結局、A社もF社も何も取れなくなりますが、それでも宜しいでしょうかと詰め寄りました。 ○それに対しF社社長も折れ、最終的には、第二B丸水揚げ金3000万円はいったんA社が取得し、その後、内500万円を乗組員給与として乗組員代表、内600万円をB社、1000万円をF社、残り900万円をA社が取得することで何とか合意が成立し、その旨の合意書をA社、B社、F社、乗組員代表者との間で交わし、F社が強制執行停止仮処分申立を取り下げることになりました。尚、事務員Sさんが執行官と約束した水揚げ不足分200万円をE水産に戻すことはA社の負担とするとしました。 ○水揚げ金即ち強制競売による回収金3000万円は競落人E社が執行官に銀行振出小切手(現金小切手)で預けており、仮処分取下受理証明書を持参すれば執行官からその現金小切手を受領して貰えることになっていましたが、問題はその換金及び分配方法でした。K弁護士が銀行に持ち込み各口座に振込出来るのであれば良いのですが、仙台から遠く離れた苫室市にはK弁護士の銀行口座などなく、結局、仙台に戻ってからでないと換金できないことが明らかになりました。 ○B社社長は今日中にヤクザに支払わないと自分の身が危ないと言い、何としても今日中に600万円は欲しいと懇願します。かといってB社社長に小切手を預けたのでは全部持って行かれることは明らかです。A社専務も信用できず、仙台で待機しているボス弁も電話でA社専務に預けてはいけないと言います。そこでK弁護士はF社代理人G弁護士に、先生しか信用できる方は居ません、3000万円の小切手を受領したら先生に預けますので,直ちに換金して各口座に送金して欲しいと頼むと快諾して頂きました。弁護士同士なら信頼できるとの環境がホントに有り難いと思いました。 以上:1,302文字
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