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抑うつ病退職夫に退職後4割収入ありと扱い婚姻費用支払を命じた高裁決定紹介

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令和 7年11月27日(木):初稿
○「抑うつ病退職夫に退職後4割収入ありと扱い婚姻費用支払を命じた家裁審判紹介」の続きで、その抗告審令和5年5月8日福岡高裁決定(判時2631号5頁)全文を紹介します。161万5000円の支払を命じた夫が、就労不能で収入が無いのに収入があると認めるのは不当と主張して抗告していました。

○大阪高裁決定も、原審と同様、抗告人が抑うつ状態であることは認められるものの、相手方との別居以前には症状がなく、長男及び二男との面会交流等を巡ってその症状が発現し、その後、従前の勤務先を退職するに至ったという経緯等や、抗告人の指摘する診断書によっても具体的な症状の内容や程度、通院の頻度、投薬内容等が明らかでないことなどに照らすと、直ちに就労することが不可能と判断することはできないとして、原審審判を維持して抗告を棄却しました。

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主   文
1 本件抗告を棄却する。
2 抗告費用は抗告人の負担とする。

理   由
第1 本件抗告の趣旨及び理由

 本件抗告の趣旨及び理由は、別紙「抗告状」(写し)《略》に記載のとおりである。

第2 当裁判所の判断
1 当裁判所も、原審判と同様、抗告人に対し、婚姻費用分担金として、161万5000円の支払を命じるのが相当と判断する。その理由は、2のとおり判断を補足するほかは、原審判の「理由」欄の「第2 当裁判所の判断」の1及び2(原審判1頁17行目から同5頁3行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

2 判断の補足
 抗告人は、抑うつ状態のため就労困難と診断され、その状態は令和3年8月以降悪化傾向にあり就労不能な状態が継続していることが明らかであり、今後、その症状が改善する見込みがないにもかかわらず、令和4年7月以降の抗告人の収入を270万円として婚姻費用分担金を算定した原審判は不当である旨主張する。

 しかし、原審判が認定説示するとおり、抗告人が抑うつ状態であることは認められるものの、相手方との別居以前には症状がなく、長男及び二男との面会交流等を巡ってその症状が発現し、その後、従前の勤務先を退職するに至ったという経緯等や、抗告人の指摘する診断書によっても具体的な症状の内容や程度、通院の頻度、投薬内容等が明らかでないことなどに照らすと、直ちに就労することが不可能と判断することはできない。また、上記診断書には抗告人において就労が困難である旨記載があるものの、いかなる仕事についても就労することができないのか、あるいは、何らかの条件を付したとしても就労することができないのかといった点については明らかでない。

 以上によれば、上記診断書をもってしても、抗告人において就労が不可能であり、全く稼働能力がないといえるかについては疑問が残るといわざるを得ず、相手方の求めがあったにもかかわらず、抗告人が具体的な診療内容等を明らかにすることを拒否していることなどを考慮すれば、令和4年7月以降の抗告人の収入について,従前の収入の約4割である270万円の収入があるものとして婚姻費用分担金を算定した原審判は相当である。
 したがって、抗告人の上記主張は採用できない。 

3 よって、本件抗告は理由がないから棄却することとして、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 岡田健 裁判官 佐藤道恵 阿閉正則)

別紙 抗告状《略》
以上:1,404文字

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