令和 6年 1月31日(水):初稿 |
○おそらく女性の原告が、おそらく女性の被告に元夫Cとの不貞行為を理由に500万円の慰謝料請求を求め、婚姻期間3年半、不貞期間1年程度を認定し、その慰謝料金額を120万円と認定した令和4年3月16日東京地裁判決(LEX/DB)全文を紹介します。 ○原告夫婦は、離婚に至っていますが、被告において単に不貞行為に及ぶにとどまらず,原告・C夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして同人らをして離婚することを余儀なくさせたと評価すべき特段の事情については主張立証がないものと解されるので,上記120万円は離婚に伴う慰謝料を認めたものではないとしています。 ******************************************** 主 文 1 被告は,原告に対し,120万円及びこれに対する令和3年10月12日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを4分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事 実 第1 請求 1 被告は,原告に対し,500万円及びこれに対する令和3年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 仮執行宣言 第2 当事者の主張 1 請求原因 (1)原告と分離前の共同被告C(以下「C」という。)は,平成29年1月1日,婚姻をした。 (2)被告は,令和2年7月頃から,Cと交際していた。 (3)被告の上記(2)の行為により,原告の配偶者の地位が侵害され,平穏な婚姻関係(原告は,平成22年に原告・C間に生まれた長女と,平成12年○月○日にCとその前夫との間に生まれた子(原告とCの婚姻時に原告と養子縁組をした。)の4名で生活していた。)が破壊され,原告は精神的苦痛を被った。 その慰謝料は500万円とするのが相当である。 (4)よって,原告は,被告に対し、不法行為に基づき,慰謝料500万円及びこれに対する不法行為後の日(訴状送達の日の翌日)である令和3年10月12日から支払済みまでの平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 請求原因に対する認否 (1)請求原因(1)は,認める。 (2)請求原因(2)は,認める。 (3)請求原因(3)は,否認ないし争う。 理 由 1(1)請求原因(1)は,当事者間に争いがない。 (2)請求原因(2)は,当事者間に争いがない。 (3)請求原因(3)について 被告の請求原因(2)の行為は,原告とCとの婚姻関係を破綻させる不貞行為であり,これによって原告が精神的苦痛を被ったことが認められる。 慰謝料額は,不貞行為がなされるまでの婚姻期間(3年半程度),不貞行為自体の継続期間(1年程度),子ら(証拠(甲1)によれば,原告主張のとおりの親子関係であると認められる。)への影響及びそれが原告に与えた影響その他の事情を総合考慮すると,120万円とするのが相当である(なお,証拠(甲1)によれば,令和3年8月11日に原告とCが協議離婚をするに至っているが,被告において単に不貞行為に及ぶにとどまらず,原告・C夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして同人らをして離婚することを余儀なくさせたと評価すべき特段の事情については主張立証がないものと解されるので,上記120万円は離婚に伴う慰謝料を認めたものではない。)。 (4)遅延損害金の割合は,被告の不法行為が令和2年7月頃であって,同年4月1日の現行民法施行以降であるから,年3分となる。 以上の限度で請求原因は理由がある。 2 よって,本訴請求は120万円及び遅延損害金(年3分)の限度で理由があるからその限度で認容し,その余の請求を棄却し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法64条本文,61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第30部 裁判官 佐藤康平 以上:1,677文字
|