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夫の同意書を偽造して妊娠中絶をした妻に対する損害賠償請求は可能か1

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令和 3年10月30日(土):初稿
○妻が妊娠したが、夫である自分の承諾書を偽造して中絶手術をし、父親になる権利を奪われたが、妻に損害賠償請求ができるか、できるとすれば、その損害の範囲はどうなるかとの質問を受けています。妻としては、夫に嫌気がさして離婚したいと思っており、離婚を目指す夫の子を産むわけにはいかないとの事情がありました。

○以下の母体保護法の規定を初めてじっくり読みましたが、結婚している場合、人工妊娠中絶の要件として、夫の同意が要件とされています。先日のNHKニュースで、妊娠中絶要件として夫の同意は不要としている国は192カ国に及び日本の母体保護法での夫の同意要件は、世界の趨勢に遅れていると報道されていました。これまでこの問題を考えたことは殆どなく、前記質問も考えたことのない問題で、よく考えてみると、結構、奥深い問題と実感しています。

第1条(この法律の目的)
 この法律は、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等により、母性の生命健康を保護することを目的とする。

第2条(定義)
 この法律で不妊手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で厚生労働省令をもつて定めるものをいう。
2 この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。

第14条(医師の認定による人工妊娠中絶)
 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
二 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫かんいんされて妊娠したもの
2 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる。


○関連判例がないか調べてみたら、原告が、妻である被告Y2及び被告Y1に対し、被告らが遅くとも平成27年2月15日に不貞行為を開始し、また、被告らが共謀して、原告が作成した本件同意書を医師に提示せず、被告妻のY2本人の同意のみにより本件胎児に対して違法な人工妊娠中絶をしたことにより、原告が精神的苦痛を受けたとして、また、原告は被告らに殺害された本件胎児の損害賠償請求権の全額を相続により取得したとして、原告の慰謝料、本件胎児の精神的損害及び逸失利益並びに弁護士費用等の支払を求めた事案がありました。平成28年7月20日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン)です。内容、検討し、後日、別コンテンツで紹介します。
以上:1,155文字

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