平成25年 7月 1日(月):初稿 |
○「前訴確定後8ヶ月後提起二回目有責配偶者離婚請求認容例紹介3」の続きで、私なりの感想です。 先ず判決がなされた平成15年1月31日時点での当事者の年齢表示で事案をまとめます。 ・X男(41歳、医師)とY女(34歳)は、平成2年5月婚姻、長女A(12歳)、二女B(9歳)がいる。 ・平成5年7月頃、XがD女と性関係をもったことが判明してYとの婚姻関係悪化 ・平成5年12月Xは借入金でマンションを購入し、Yが居住し、XYは別居 ・平成6年3月XはこのマンションでYと同居試みるも喧嘩が絶えず同年7月完全別居 ・平成9年7月頃XはE女と交際開始、同年10月から同棲 ・平成10年4月Xは那覇地裁に夫婦関係調整調停申立するも不調、同年10月離婚の訴え提起 ・平成10年10月、Y申立婚姻費用分担調停で、年額480万円の婚姻費用支払等の調停成立 ・平成11年8月XとE女間にF出生、 ・平成12年2月、那覇地裁でXの離婚請求認容判決、Y控訴、同年7月XEは丙市に転居 ・平成12年7月、福岡高裁那覇支部は離婚請求認容判決取消、離婚請求棄却判決、同年11月最高裁上告不受理決定で確定 ・平成12年12月、YはXの兄嫁に裁判で勝ったから自分も丙市に行くと電話で通告 ・平成13年1月Xは那覇家裁に夫婦関係調整調停申立をして離婚条件提示、Yの拒否で不成立 ・平成13年8月X本件訴え提起、内容は①離婚、②親権者Y、③年額420万円の養育費、④慰謝料300万円支払、⑤面接交渉、但し④は後に撤回 ・平成13年11月YはXに仕事に就いて自立したいので子をXが引き取るなら離婚に応じても良い旨申出、X喜んで子らを受け入れる準備、その後、Yから申出撤回の連絡、離婚請求訴訟も争う姿勢鮮明にする ・平成14年4月、Xは長女Aから非難のメール受信、Yの指示と考え、子を巻き込む態度にX立腹、 ・平成14年10月XはE女との間に生まれたFを認知、 ○このような有責配偶者からの離婚請求事例は、世間には相当数あります。当事務所でもこれと似たような事案の相談を相当数受けており、また、訴訟案件として抱えて訴訟を提起したこともあります。しかし、このような案件は、訴訟前の示談・調停で解決する例も多く、また訴訟になっても判決に至る前に和解で解決する例も多く、本件のように判決に至り世間に公表されるまでになる例は割合からは少ないと思われます。 ○当事務所での取扱例は、殆どが有責配偶者側であり、有責配偶者から離婚を迫られて、頑として拒否して訴訟になって判決まで至った事案は1件もありません。私自身、諦めが良い方で、気持が離れたのに、形式的な夫婦関係を維持しても仕方なく、出来るだけ金銭的に有利に、いわば取るものを出来るだけ多く取って、綺麗サッパリ別れた方が精神衛生上良いですよとアドバイスする姿勢のためと思われます。要するに逃げた男或いは女を追っても仕方が無いでしょうと言う姿勢です。 ○本件判決を書いた裁判官は,判断部分冒頭で、「前件はもともと原告が一方的に被告に対し愛情喪失を理由に離婚を迫ったものであって身勝手も甚だしく、相手方配偶者の意思に反してでも離婚を許容し得るものとする裁判離婚制度の存在意義ないし機能に照らしてもなお本件離婚請求を認容することに対して生じうる強い抵抗感を拭い去ることはできない。」と悩める心情を吐露しています。 ○しかし、その後の「しかしながら」以下の判断が重要であり、その感想は別コンテンツで述べます。 以上:1,424文字
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