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養育費算定上の問題点-Q&A抜粋備忘録

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平成22年 2月10日(水):初稿
○離婚相談に訪れる方の金銭問題についての質問事項の殆どは、養育費・婚姻費用、財産分与、慰謝料ですが、養育費・婚姻費用については、判例タイムズ1111号(平成15年4月1日号)に掲載された東京・大阪養育費等研究会作成「養育費・婚姻費用の算定方式と算定表」(東京家庭裁判所のHPにPDFファイルで掲載)利用が実務では定着し、離婚調停や離婚訴訟和解時においては必需品となっています。当事務所でも離婚相談者で養育費問題を抱える方には,必ずその必要部分をコピーしてお渡ししています。自分でネットから取り寄せて持参してくる準備の良い方も増えてきました。

○この養育費・婚姻費用算定表、大変便利なものですが、基本的には養育費支払いを受ける権利者(通常は,親権を取った母)と養育費支払義務を負う義務者(通常は親権が取れない父)の収入だけがメルクマールとなっており、その収入がハッキリしない場合或いは収入があっても大きな借金を抱えている場合など、この収入基準だけでは判らない面もあり、多種多様な質問を受けます。これらの疑問解消のためには、「養育費・婚姻費用の算定方式と算定表」についての大阪弁護士協同組合出版解説書が大変役立ちます。
以下、その中のQ&A抜粋備忘録です。

○以下、権利者A(母)、義務者B(父)として記載しますが、私の独断と偏見も混じっていますので必ずしもこのQ&Aの記述や家裁での運用基準とは一致しません。

・父Bの収入が不明或いは無職無収入の場合
不明の場合は学歴による賃金センサスで推測、無職無収入は原則ゼロ、但し、働ける場合は、賃金センサスでの収入があるとして算出することも可能。しかし、財産が皆無の場合、実務的には回収不能。

・母Aが無職無収入の場合
原則ゼロ。但し、働ける場合は賃金センサスの収入で算出することもあるが、子供が小さい等で働けない、働いても時間制限ある場合等はパート収入等を基準とする。

・母Aが受け取る児童手当、実家からの援助
母の収入には入らない。但し、Aが働けるのに実家からの援助に頼って働かない場合は、収入としても良い場合もある。

・子の私立学校・塾等で多額の教育費
この教育費も原則として算定表では考慮しません。但し、父Bも了解の上で多額の教育費をかけている場合は、標準的教育費との差額について父と母の収入による案分比例等の考え方で分担する場合もある。

・子の重度障害による多額の治療費
これは標準的養育費ではまかなえない高額部分について父と母の収入による案分比例等の考え方で分担。

・父Aまたは母Bの多額の負債
これは原則として考慮しない。但し、負債の原因が婚姻中の住宅ローン、婚姻中に婚姻生活維持のためにAまたはBが借り入れたものを義務者Aが支払っている場合等は、考慮する場合もあり、ケースバイケース。AのBに対する慰謝料分割債務は考慮の対象にならない。

・父Bが母Bと子の住む住居費も負担している場合
原則として養育費から住居費を控除する。但し、Bと子がA所有建物に居住し、Aが支払っている住宅ローンについては、住宅ローン全額控除にはならない。建物の資産価値、賃貸した場合の賃料額、Aの収入等を考慮しケースバイケースで決する。

・母Bが再婚した場合
再婚相手が子と養子縁組がなされている場合はAの養育費支払義務は原則消滅しするが、養子年縁組していない場合は無関係と説明されている。
しかし事実上の養子縁組がなされている場合も無関係となると考えるべき。この点は「親権者となった母の再婚相手と子の養子縁組」等を参考にされたい。








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