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セクハラを受けたと上司を退職に追い込んだ重~いツケ5

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平成20年 4月20日(日):初稿
○「セクハラを受けたと上司を退職に追い込んだ重~いツケ」の争点の残りの2点は以下の通りです。判決文を相当短くまとめましたが、それでもちと長文になりました。

4 Aの退職とBの懲戒処分申入れとの間に因果関係が存在するか。
(Aの主張)
①Bは,h11.12,a総務局人事部に対して,AをBに対する強姦未遂を理由に懲戒免職処分の申し入れをしたが、その進行に不満を持ち、h12.3、Aが所属部局にAから強姦未遂を受けたと再度告訴したたためAB間の紛争が多数の職員の知るところとなり、更にh11.12からh15.9まで再三にわたって執拗にAを懲戒免職処分にするよう申し入れた。

②Bの実母は、a知事室の特別秘書に面談し「知事直訴」し、これが,a知事及び幹部職員にとって,AとB間の紛争を大きな問題として注目し,ひいてはAが退職を余儀なくされたことに直結する契機となった。

③a職員懲戒分限審査委員会は,h16.2.18,Aの懲戒免職処分を決定し、Aは,同月25日,a総務局長から,「平成10年8月1日AはBに対し性的暴行を行った。2日以内に退職届を提出して退職せよ。退職すれば退職金を半額支払う。退職を拒否すれば,直ちにAを懲戒免職処分とし,処分を新聞発表する。」と通告され、Aは退職金及び老後の生活資金である共済年金確保のためやむなく、h16.4、退職に追い込まれた。

(Bの反論)
 Aが退職に追い込まれたことが,Aが主張するように不当なものであるとすれば,Aに対して給与支払義務を負っているのはa庁であり,Aを退職に追い込んで損害を与えたのは,a庁であってBらではない。従って,Aは,退職に追い込まれたことの不当性を争い,逸失利益を請求したいのであれば,a庁をBとして訴訟提起すべきである。

5 Aの損害
(Aの主張)
①本件和解は,公序良俗違反で無効,あるいは強迫または詐欺によって取り消されたから,Bは,Aが和解金として支払った1006万2500円を不当に利得している。

②Aは,Bらの働きかけによってa庁を退職せざるを得なくなり,そのために合計1億0360万9563円の損害を被ったが,本訴ではそのうちの1億円を請求する。

Ⅰ定年までの給与相当額 4751万2360円
 Aのh16以降の給与所得総額は,平成11年の所得を基礎としてこれに定昇分を加え,1400万円として算定し、h19.6末に定年退職までの失った給与合計額は合計すると,4751万2360円になる。

Ⅱ減額された退職金相当額 2109万7203円
 Aが定年退職した場合,勤続年数は35年であり,定年退職した場合のAの退職手当は,3256万円であり、Aが実際に支給を受けた退職手当は,普通退職手当の半額だったため,定年退職した場合との退職手当の差額は,2109万7203円である。

③再就職した場合に得られたはずの給与等相当額 3500万円
 一般的に,a職員が定年退職した場合,再任用制度等により満65歳までの期間何らかの再雇用があり、Aは,本庁部長級であるが,本庁部長級で退職した場合,一般的には現職時の給与等収入の5割から6割の待遇で再雇用されているので,Aは,再雇用期間5年間,待遇を現職時の給与等収入の5割とすると,退職後の再雇用による給与等収入は,700万円の5年間で3500万円となる。

Ⅲ慰謝料 1000万円
①Aは、h11.3、Bから「警察に告訴して逮捕させる。民事訴訟も起こす。」と強迫されて以来、不安な毎日を過ごし、精神的肉体的に追い詰められ、その上、Bとの紛争を表沙汰にしないとの一心で和解協定を結び先ず500万円を支払い,残金は半年後に支払うとBに約するも、Bは、h11.11、a庁にAが強姦未遂を犯したと虚偽告訴し民事訴訟を起こしたため,事件が表面化し,事件を妻に告白して離婚を申し入れ,平穏だった家庭は修羅場と化し,職場にも家庭にも居場所を失った。

②その後、Aは、行政監察室の取調べ、h12.4停職処分、左遷、先輩,同僚,後輩から白眼視、多くの友人,知人を失うなどの精神的苦痛に耐えながら、職場復帰を望んでいたが、Bは,h15.9まで4年間も執拗にa庁に懲戒処分の申し入れをしたためh16.4に退職を余儀なくされ、更にh16.12、毎日新聞の報道により,a庁の多数の職員からセクハラで退職させられたと侮蔑され,Aの不名誉と恥辱は決定的となったものでその精神的苦痛は,1000万円をもってしても償うことはできない。

(Bの反論)
①BがAから受領した1006万2500円は,Aの不法行為に関する損害賠償金であり,Aが退職を余儀なくされたのは,B対する性的暴行を理由とした正当な処分であって、Aは誰に対しても,退職に伴う逸失利益を請求できない。なお,再就職後の給与等収入については,Aが主張するような高収入の職に就いたであろうという蓋然性の立証が全くなされていないから,仮に算定するとしても,賃金センサスを基準とすべきである。

②Bは,Aに対し何ら不法行為を行っていないから,Aには法的に保護されるべき精神的損害は存在せず、仮に,Aが退職に追い込まれたことが違法であったとしても,Aが受けた精神的苦痛を賠償すべき義務を負うのはa庁であり,Bではなく、毎日新聞の報道により精神的苦痛が増加したと主張するが,報道を行ったのは毎日新聞でありBではないから,報道によってAが受けた精神的苦痛を賠償すべき義務を負うのは毎日新聞である。
以上:2,253文字

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