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家庭裁判所裁判官から弁護士代理人に望むこと

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平成19年 9月20日(木):初稿
○東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編「平成17年度専門弁護士養成連続講座家族法」という書籍を購入していました。会員が約5400人も居る東京弁護士会では、昭和56年に法律研究部を設置し、様々な専門領域について研究を行いその成果や発表や出版活動を行っていますが、専門弁護士養成連続講座もその一環で、専門領域のスペシャリストを講師として講義をして貰っているようです。

○法律家に限らないと思われますが、法曹実務で役に立つ参考文献は、実務家によるものが殆どです。失礼ながら学者の書いた評論的文献は実務では即戦力にはならないものが多いと感じております。この「平成17年度専門弁護士養成連続講座家族法」では、家庭裁判所実務についてのスペシャリスト裁判官、弁護士等の実務家による講義録であり、正に価値ある内容が満載です。

○講義録は東京地方裁判所判事阿部潤氏の東京家庭裁判所判事時代の「離婚原因について-裁判実務における離婚請求権を巡る攻防-」から始まっていますが、全10件の講義録は、最新家裁実務の参考文献としては、宝の山であり、必要に応じて参照し、備忘録として紹介していければと思っております。

○冒頭阿部判事の講義録では、離婚請求についての理論的問題点を手際よく整理されて大変勉強になりますが、最も胸にズシンと響いたのは、最後の「少し、いいにくいことですが、裁判所からみた若干の要望を述べさせていただき」とのその他弁護士代理人に望むことでした。

○その望むことをシッカリ自覚するため、私の備忘録として掲載します。
1 基本的法律知識の不足
家庭裁判所に来る代理人弁護士の中には基礎的知識がない者が少なくないは困りものです。

こういわれると正に私にもピッタリで少しずつでも研鑽に励むしかありません。先日、今は遠隔地に居て調停に出頭できない依頼者の事件について、事前に代理人同士で調停条項をまとめて合意し、依頼者は出頭せず、代理人の私と相手方代理人、相手方本人で離婚調停を成立させようとしたら、本人が来ないと離婚調停は出来ませんと言われて恥をかきました。急遽、離婚条項を協議離婚するとし、その他の養育費等の給付条項は協議離婚成立を停止条件とする内容に書き換え調停を成立させたことがあります。

2 民事訴訟の一環であるとの認識の不足
いまだに、集中証拠調べに対応できない代理人が多いのは残念です。

とにかく、本人を聴いて和解勧告をして欲しいという代理人もいます。」との言葉もありますが、この安易な姿勢は、改める必要があります。

3 家庭に関する紛争の特質に対する無理解
当事者と同じレベルで、時にはそれ以上にエキサイトして、よけいに紛争を激化させる代理人もいます。

ここも正に仰るとおりで代理人としては最も戒めなければならない事項と思っております。
昔、ある著名人の離婚事件で、夫本人が、妻の相手方の弁護士に対し「(妻代理人の)○○弁護士だけは絶対に許せない!」と言わしめていた例がありますが、当事者本人以上に弁護士が恨まれないような訴訟活動、態度が必要です。逆に相手方当事者本人から、大変、良い弁護士さんがついてくれたから、穏便に解決したいと思われることが必要です。

4 尋問技術の拙さ
尋問では事実を引き出そうとせずに、自己の主張や価値観を押し付けるだけの代理人が目につきます。

ここも自分のことを言われているのではと、耳に痛いところです(^^;)。尋問はいつまで経っても難しく、私としては、離婚事件では特に相手方当事者の反対尋問においては、いたずらに攻撃的にならないように、気をつけては居るつもりですが、これからも心して尋問に望みたいと思っております。
以上:1,503文字

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