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平成18年10月 5日(木):初稿 |
○平成18年10月5日更新情報「女狂いの友人を何とか更生させたいとの質問」で、女狂いのBが、それまでは単なる友人関係だった女性Eが婚約した途端に欲しくなり、その女性に対し甘言を弄して、男女関係となり、その婚約者Dとの婚約を解消させるに至った例を報告しました。 ○この場合のBのDに対する責任を検討します。 「婚姻予約成立の効果-結婚は強制出来ない」に記載したとおり、婚約が成立した場合の法的な効果は、結婚の約束を守らない即ち一方的に婚約を解消した者に対し、慰謝料等の損害賠償請求が出来ることであり、但し、解消について正当な理由がある場合は損害賠償請求は出来ず、婚約が不当に破棄された場合にだけ損害賠償責任が生じます。 ○このケースでのEはBを好きになって男女関係になりそのため婚約者EとDの婚約が解消されたのでEの方から婚約破棄をした場合、Eに婚約破棄についての正当理由はなく、EはDに対し損害賠償責任を負います。またDの方から婚約を破棄したとしても、Eが婚約破棄の原因を作ったとして債務不履行を理由に損害賠償が出来る場合もあります。 ○婚約は将来婚姻をしようとする当事者の合意で、婚約当事者は互いに誠意をもつて交際し、婚姻を成立させるよう努力すべき義務があり、この意味では、貞操を守る義務をも負つていると解されており(昭和53年10月5日 大阪高裁判決、判タ378号107頁)、Eは婚約中の貞操義務違反という債務不履行があるからです。 ○但し、この大阪高裁判決の原審神戸地尼崎支昭52・8・31判決では、「婚約当事者が互に相手方に対し婚姻当事者(夫婦)と同様の貞操義務を負つているとは解されない(そのような行為が、他方当事者による婚約の一方的解消のための正当事由になる場合があることは別個の問題)」と明言しており、考えは分かれます。 ○そこでEがDを婚約中であることを知った上で敢えてEを誘惑し、男女関係となり結局EとDの婚約解消をさせるに至ったBのDに対する責任はどうかというと、ちと微妙になります。DとEの婚約による貞操義務があるとしてもその当事者間の合意に基づく義務に過ぎないとすればBまで拘束することは出来ず、Eが自由な意思でBと関係した以上、Bには何らの責任はないとの考えも成り立ちます。 ○しかしこのケースでのBはEが婚約したことを熟知の上、Eが婚約したことで欲しくなり誘惑し、しかもその目的はあくまで肉体関係を結びその婚約を解消させることが目的でEとの真剣な交際は考えていないことが明らかだとすれば、極めて悪質であるとしてBはDに対し不法行為に基づく損害賠償責任を負うとの考えも成り立ちます。 ○このような遊び人で危険な人物であるBの誘惑に乗ったEに大きな問題がありますが、Bような危険人物の方が真面目・堅物人間より却って女性にもてることが多く、世の中、不公平のタネは尽きません。 以上:1,182文字
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